イスラエルのテルアビブに住んでいます、がぅちゃんです。
テルアビブの創作東南アジア料理屋「メコン/Mekong」
現地で「イスラエルの料理って何があるの?」と聞いた場合、真っ先に名前が挙がるであろう定番料理を5品をピックアップしました。料理の概要や消費のされ方など、現地情報も含めて紹介します。
イスラエル料理とは
イスラエルの料理事情はちょっと特殊です。端的に説明します。
そもそもイスラエルは1948年に誕生した若い国で、歴代首相12人のうちイスラエル出身は1名のみ(ベンジャミン・ネタニヤフ/現職)。つまり移民の国なので、移民の母国料理がイスラエル料理と呼ばれている現状があるわけです。
ベンジャミン・ネタニヤフはテルアビブ出身。米・マサチューセッツ工科大学(MIT)卒。
そういった状況の中でイスラエルの定番料理は存在しています。この記事内の「イスラエル料理」は、あくまでもイスラエルの定番料理という意味で紹介しています。(イスラエル料理と呼んでもそこまでおかしいことではないですが)
イスラエルの定番料理5つ
1. フムス(Hummus)
テルアビブのビーチバー「La Mer」のフムス。ひよこ豆、パプリカ、オリーブオイル、パセリがトッピングされている。
フムスは中東地域でよく食べられるひよこ豆のペーストです。ひよこ豆、オリーブオイル、にんにく、レモン、タヒーニ(中東のごまペースト)を混ぜて作ります。 ピタパンなどをつけて食べるディップとしてよく消費されます。イスラエルのレストランの定番メニューであり、スーパーにも様々な種類が売られています。
スーパーのフムス売り場に並ぶフムス
トルコなどにもフムスはありますが、それらと比べてイスラエルのフムスはクリーミーです。フムスの上にゆで卵をのせたものやマッシュルームを添えたものなど、バリエーションも豊かです。
イスラエルの様々なフムス。ひよこ豆をトッピングしたフムス(右2つ)は「フムス・マサバハ/Hummus Msabbaha」と呼ばれる。
フムスは本当にどこにでもあります。テルアビブにもフムス専門店がいくつかありますし、イケアのカフェですら売られています。イスラエルのソウルフードとして圧倒的な市民権を得た食べ物といえます。
イスラエルのイケアのカフェテリアで売られるフムス
関連記事:イスラエルで最も有名なフムス屋!テルアビブの「アブハッサン」
2. ファラフェル(Falafel)
エルサレムから近い、アラブ系イスラエル人の村にあるレストラン「Abu Gosh」のファラフェル。
ファラフェルもフムスのように、中東料理かつ人気なメニューの1つです。潰した豆を香辛料や野菜と混ぜて揚げた一口サイズのコロッケです。豆の種類はそら豆かひよこ豆、香辛料はクミンとコリアンダーが使われるのが一般的です。日本料理にはない独特の風味がします。
ファラフェル味のスナック。「ビスリ/Bislli」という商品名で、イスラエルを代表するおやつの1つ。
ファラフェルは国内の中東料理レストランではおかずの一品として提供されることがあります。しかしテルアビブではピタパンと共にサンドイッチとして提供されることが多いので、ストリートフードとして認知されています。
テルアビブにある、行列のできるファラフェルサンド屋「ラツォン/Ratzon」
ラゾンのファラフェルサンド。一つ6シェケル/180円。白いタヒーニソースがかかっている。
ファラフェルは子供用のおやつとしても人気のようで、ショッピングモールなどでは子供用メニューの看板で見かけることもあります。そして先ほどのフムスのように、イケアにもファラフェルが売っています。
ホットドッグと並ぶファラフェルサンド。驚異の5シェケル/150円。
安くてうまい。文句なしのソウルフード。
関連記事:
・世界ごはんたべ記#9 京都のイスラエル料理屋「ファラフェルガーデン」
・世界ごはんたべ記#11 大阪のイスラエル料理屋「ファラフェル・サババ」
・世界ごはんたべ記#15 大阪のイスラエル料理屋「ファラフェル・タイム」
・ファラフェルの記事いちらん
3. シャクシューカ(Shakshouka)
テルアビブの朝食専門レストラン「ベネディクト/Benedict」のシャクシューカ。
シャクシューカはイスラエル料理として、とにかくよく名前が挙がります(とくに目立っている印象)。この料理を簡単に説明すると、トマトソースで卵を煮込んだ料理です。トマトソースには、クミン、パプリカ、カイエンといったスパイスが入っており、ちょっとピリ辛なのが特徴的です。
これは「グリーン・シャクシューカ」。変わり種といったバリエーションもある。ランチが人気のテルアビブのカフェ「Cafe 65」にて。
シャクシューカはエジプトや北アフリカでもよく食べられますが、イスラエルでは朝食の定番メニューとして強く認知されています。朝食やランチを提供する観光客向けのカフェやレストランではほぼ必ずある定番メニューです。
関連記事:本場イスラエルで人気のシャクシュカ専門店「Shukshuka」
4. イスラエリ・ブレックファスト(Israeli Breakfast)
平均的なイスラエリ・ブレックファスト。これにパンと卵料理がつく。@テルアビブのビーチカフェ「Mezizim」
イスラエリ・ブレックファストとは「イスラエルの朝食」という英語をそのままカタカナにした名前なのですが、まさに文字通り、イスラエルの朝食の定番です。パン、卵料理、乳製品(チーズ)、魚、 サラダを組み合わせた、いわばイスラエルの前菜盛り合わせのような料理です。 イスラエル流・朝食プレートと言ってもよいでしょう。
おかずはそれぞれ、ナス(左上)、ツナ(左下)、タヒーニ(中央下)、その他チーズ3種。一般的な組み合わせ。
イスラエリ・ブレックファストは、パレスチナに移民したロシア帝国の人々が作ったコミュニティ「キブツ/Kibbutz」が発祥とされています。要は質素な朝食なのですが、現代では「ヘルシーなイスラエルフード」という捉え方もされています。
付け合わせのパンは店によって種類が違う。
卵はたいていオムレツか目玉焼きかを選べる。雑く見えるがこれが普通。
ちなみに宿泊施設の朝食ビュッフェでは、料理の品揃えがそのままイスラエリ・ブレックファストになっているケースが多々あります(ダブリンのアイリッシュ・ブレックファストと仕組みが同じ)。気づけば食べてしまっている食べ合わせこそが、イスラエリ・ブレックファストとも言えます。
別のお店のイスラエリ・ブレックファスト。タヒーニの代わりにアボカドがある。逆に言えば、ツナ、チーズ、卵の組み合わせは鉄則と言える。@テルアビブの朝食専門レストラン「Benedict」
5. ナス料理(揚げナス、焼きナス、ババガヌーシュetc)
今時なイスラエルのナスのグリル。タヒーニなどのソースがかかっている。発想はナス田楽とほぼ同じ。 ガザから30kmの町・アシュドッドのレストラン「Pavella」にて。
1〜4のメニューが圧倒的4強なのでそれら以外を選びづらいというのはさておき…、あえて1つ選ぶならナス料理です。なぜなら、ナス自体がイスラエル料理に欠かせない存在だからです。ナス料理はほとんどのレストランにあり、スーパーでも必ず売られている食材です。
イスラエルのスーパーに売られている一般的なナス。日本のものと比べてかなり大きい。
ナスは明らかにイスラエルの定番食材なのにも関わらず、イスラエル料理として注目されることはあまりありません。 なぜならナスはどの国にもあってありきたりで、先ほどのフムスやシャクシューカと比べて「イスラエルっぽさ」に欠けるからです。
でもナスは、そのものを食べたり加工したり、様々な方法で消費されます。無くなるとイスラエルの食卓にダメージを与える食材ランキング1位…とは言い切れませんが、TOP3ではある重要な食材なのは確かだと思います。
フライドポテトのようにして食べるフライドナス。テルアビブのカジュアルダイニング「ビシクレッタ/BICICLETTA」より。
焦げるまで焼いたナスをタヒーニと混ぜて作るディップ「ババガヌーシュ/Baba Ganoush」。イスラエル・アッコの海沿いのレストラン「ドニアナ/Doniana」より。
ババガヌーシュをモチーフにしたと思われるナスのサラダ。タヒーニがかかっている。テルアビブのコーシャ・ステーキハウス「Entrecote」にて。
おまけ:避けられない2つの食材
イスラエルで何か食べる際に、付け合わせとして高確率でついてくる料理が「タヒーニ」と「ピタパン」です。そもそもフムスやファラフェルにはタヒーニが含まれており、ファラフェルサンドのパンや突き出しにはピタパンがしょっちゅう採用されます。 そういった意味では、タヒーニとピタパンもイスラエルの定番料理です。
スーパーでも売られている家庭用タヒーニ。
気づけば食卓に並んでいる、イスラエルの平均的なピタパン
まとめ:イスラエル料理の定番7つ
以上の2品も含めて超王道のイスラエル料理をまとめてみました。イスラエルで3日あれば全て無理せず摂取できると思います。
1 フムス(Hummus)
2 ファラフェル(Falafel)
3 シャクシューカ(Shakshouka
4 イスラエリ・ブレックファスト(Israeli Breakfast
5 ナス料理 (焼きナス、揚げナス、ババガヌーシュ 、etc)
6 タヒーニ(Tahini)
7 ピタパン(Pita Bread)
さいごに:イスラエルの食事情に関する記事
なんだか宣伝みたいで気が引けますが、イスラエルの食事情に興味のある人にとっては役に立つ情報もあると思うのでリンクを記載しておきます。
【イスラエルのグルメ】
・イスラエルのモチ!グミ!またはハッピーターンの「ジャフヌン」
・ケバブとは別物!イスラエルで人気のシャワルマ専門店「ヤシカ」
【イスラエル料理のまとめ】
・イスラエルの定番ケバブ3種類と12品の解説
・イスラエルを代表するB級グルメ7選(人気店も紹介)
・在住者によるテルアビブのレストラン64軒のまとめ(地図&実食レポ付き)
・コーシャの解説&本場イスラエルのコーシャ料理の紹介
・イスラエル料理店の一覧 in日本・アメリカ
【日本のイスラエル料理】
・大阪・京都でイスラエル料理が食べられるお店6軒+ファラフェル提供店まとめ
・東京のイスラエル料理店5軒を食べ比べ(+α)
【海外のイスラエル料理】
・アメリカ・ボストンのイスラエル料理店【ラミズ/Rami’s】
・イスラエル料理のチェーン店【ランドバー・カフェ/Landwer Cafe】inアメリカ
【その他】
・イスラエルの基本が学べる15記事
・コーシャ料理の記事一覧
・中東料理の記事一覧
・嘆きの壁の解説
・聖墳墓教会の解説