世界ごはんたべ記#86 ヴィーガン料理専門店「ファラフェルブラザーズ・一号店」

「世界ごはんたべ記」の講釈

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんの外食の記録です。どこのお店でなにを食べたかを報告しています。「世界」と名乗っている手前、異国のお店も母国のお店も登場します。



前回のエピソード「#85 東京のイスラエル料理屋/デビッド・デリ」はこちらです。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちらです

「ファラフェル」とは

典型的なファラフェル。@アブゴッシュ/イスラエル

「ファラフェル/Falafel」は「ひよこ豆のコロッケ」で、中東地域でポピュラーな料理だ。コロッケを作ろうとして誕生した料理ではないと思うが、日本料理のなかではコロッケに近いので、日本語ではコロッケと呼ばれる。

でもファラフェルはコロッケとは違う。原則、衣をつけない。材料は、ひよこ豆、ニンニク、タマネギ、コリアンダー(パクチー)、イタリアンパセリ、クミンなど。これらをみじん切りにして混ぜて丸めたものを、ちょくで油で揚げる。

ファラフェルは、私がむかし住んでいたイスラエルでは国民食のようになっていて、イケアの売店にさえ売っていた。味(材料)や形は店によって差があり、とがったお店のファラフェルが、一周回って日本のカレーコロッケになったりもしていた。

とがったお店のファラフェル。メニュー名は「インディアン・ファラフェル」。

ファラフェルブラザーズ・一号店とは

ファラフェルブラザーズ・一号店の外観。

ファラフェルをメインでやっているのが「ファラフェルブラザーズ」。名前が名前なので「ファラフェル屋さん」と思われているが、お店は「イスラエル発のビーガン料理専門店」と言っている。 ビーガンでもヴィーガンでもファラフェル屋でもヴィーガン料理専門店でも、あってると思う。店舗は東京に3つあり、六本木に一号店がある。

ファラフェルブラザーズはオーナーがイスラエル人だそうで、「イスラエル料理のお店」として捉えられているケースもある。たしかにカウンターのお惣菜とかを見る限り、「イスラエルのめし屋」という感じではあった。決してアラブ料理屋ではなかった(ファラフェルはアラブ料理でもあるので、ごっちゃにされがち)。

カウンターのお惣菜(というかトッピング)。

ファラフェルブラザーズ・一号店の雰囲気

ファラフェルブラザーズ・一号店はおもしろくて、2つ店舗がある。「買うほうの店舗」と「食うほうの店舗」だ。互いに30メートルくらい離れている。一応、どっちでも買えるし食べられる。

買うほうの店舗

外観。

中の様子。

ファラフェルサンドの食品サンプル。

かなり小さな空間で、「ファラフェルスタンド」という雰囲気があった。ファラフェルスタンドとは、「ファラフェルをピタパンに挟んだファラフェルサンドを売っている路上の売店」のことだ。イスラエルによくある。

でもファラフェルブラザーズ・一号店の買うほうの店舗は、「レゲェがきいたフレッシュネスバーガー」のようなバイブスだった。レゲェのような音楽が聞こえていた。注文した料理ができあがったら、「食うほうの店舗」まで自力で運ぶ。

食うほうの店舗

外観。

中の様子。

お店の看板。

ここもフレッシュネスバーガーのような雰囲気ではあったが、音楽はレゲェではなくてカリードだった。「日本のお店」という雰囲気が一切なく、かといって「イスラエルのお店」という感じでもない。「日本の海外のお店」という感じだった。六本木っぽい。欧米スタンダードのめしを求める外国人在住者御用達な気がした。

カリード(Khalid)はアメリカの歌手。

ファラフェルブラザーズ・一号店のメニュー

「ファラフェル」と「フムス」と「ハンバーガー」というラインナップだ。ハンバーガーのネタはファラフェルとかヴィーガンの肉とかが採用されていて、「あ、そういえばヴィーガン専門店だった」と、はっとする。ちなみにビーガンとは、動物性食品を摂取しない食事のことである。

ファラフェルサンド(550円)とフムス(1200円)。ピタパンはフムスについてくる。

ファラフェルサンド・ハーフ

「ファラフェルサンド」で通じてしまったが、本当は「ブラザーズ・サンドイッチ」という名前らしい。注文の際に、ベースの野菜1つと、トッピング2つを選ぶ必要がある。レタス、サルサ、キュウリを選択した。例のお惣菜がイスラエルのデリのような感じで興奮して迷った。

ソースは、3種類のタヒーニソースから選べる。タヒーニとは中東のゴマペーストのことで、イスラエルでは、なんでもかんでもにかかっている(なんでもかんでもはちょっと言いすぎかもしれない)。

で、タヒーニソースの種類は「プレーン」「スパイシー」「ロシアン」だ。「ロシアン」にファラフェルブラザーズの真価を見た気がする(イスラエルは旧ロシア帝国のユダヤ人らが作った国だ)。

3種類のソース。左から、ロシアン、スパイシー、プレーン。

(ファラフェルサンド・ハーフの)ファラフェル

ファラフェル自体は、「イスラエルのファラフェルではないのかもしれない」と思った。クミンやコリアンダーの風味は爆発せず、コーンがたくさん入っていた。コーンのコロッケサンドという感じ。

「イスラエルのファラフェルサンド」ではないのかもしれないが、あくまでも「ブラザーズ・サンドイッチ」なので、理にかなっている。おいしかった。

フムス

フムスはひよこ豆のペーストで、イスラエルではファラフェルに等しく人気な料理だ。ファラフェルブラザーズのフムスは、「万人が期待するあのフムス」という感じだった。イスラエルのスーパーとかにある、誰も傷つけないあのフムス。つまり、アメリカのセブンイレブンやターゲットにあるフムスでもある。

アメリカのセブンイレブンで売られていたフムス。(真ん中の緑のやつ)

日本人よりはフムスをひんぱんに食べる機会があるアメリカ人とかがフムスを求めてる時に教えてあげたいフムスだと感じた。ちなみにファラフェルブラザーズのフムスは、お惣菜を1つトッピングができる。「ロシアン」の色の素でもある「ビーツ」にしておいた。

ビーツ。

六本木のお店

ファラフェルブラザーズ・一号店のある通り。

ファラフェルブラザーズはイスラエル料理屋ではないかもしれないが、イスラエルの料理屋とは言っていい気がする。ただしイスラエル人がこのファラフェルを食べたら、イスラエルではないとは言いそうな気もする。バックグラウンドは紛れもなくイスラエルだが、「六本木のお店」という感じだ。

イスラエルのビール「ゴールドスター」も売っていた。

今回のおしながき

ファラフェルブラザーズ・一号店
ファラフェルサンド・ハーフ/The Brother’s Sandwich/550円
フムス/The Brother’s Hummus Plate/1200円

ファラフェルブラザーズのHP

ファラフェルブラザーズ・一号店の住所:東京都港区六本木5丁目1−10

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