世界ごはんたべ記#87 東京のパレスチナ料理屋「ビサン」

「世界ごはんたべ記」の説明

「世界ごはんたべ記」は食レポです、と言ってよいのかもしれませんが、違う気もします。1エピソードにつき、1軒のお店を紹介します。「世界」と名乗っている手前、異国のお店も母国のお店も登場します。



前回のエピソード「#86 ヴィーガン料理専門店/ファラフェルブラザーズ・一号店」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら

ビサンとは

ビサンの外観。

パレスチナ料理 ビサン。

「ビサン/Bisan」は、東京の十条にあるパレスチナ料理屋だ。「十条」とサラッと言ってるが、私は東京のことをよく知らないので、あまりピンときてない。故郷の京都にも「十条」はあるが、行ったことがなさすぎて、これまたピンとこない。

十条という地域にピンとこないにもかかわらず、通ってるような態度で「十条集合で」とラインした、東京に住んでる大学の同級生にだ。彼は「意外」と言ってきた。なんか意味不明だが、しっくりきた。2年ぶりくらいに会う友達だった。

ぜんぜんビサンの説明になってないが、そういう流れでビサンに行った。ビサンに行きたい自分の都合に、友人を巻き込む形となった。ビサンはパレスチナ料理のお店。パレスチナは、私がむかし住んでいたイスラエルの隣にある(と言っておく)。

Bisan: Tokyo’s only Palestinian restaurant – Sushi Sandwich

Bisan (ビサン) is Tokyo’s only unequivocal Palestinian restaurant by Chef Sudki Mansour Sudki from Bisan (or Beit She’an in The Northern District of Israel). Bisan’s store board says “Bisan Palestinian Cuisine (ビサン パレスチナ料理)” in Japanese with a photo of The Old City of Jerusalem including The Temple Mount.

ビサンの雰囲気

ビサンの前の道。

商店街のような道にビサンはある。なるほど、これが十条か(完全に知ったかぶりだ)。よくわからないけれど、シブヤとかハラジュクとは違う世界だということはわかった。

ビサンの店内。

店内にはアラビア語に聞こえる音楽が流れていた。耳だけなら「中東料理の店」という感じではあった。でも目を使って店内を見渡すと、「パレスチナの店」だということが、じわじわ伝わってくる。

パレスチナの国旗(と、昔の指導者のヤーセル・アラファート)。

パレスチナの地図。「ヨルダン川西岸地区&ガザ」とある。

トルコとかアラブとかなんかよくわからんけど中東の店? ということで埋もれる気は、さらさら無いような雰囲気だった。客が数名おり、店長とフレンドリーな感じで会話している。というか店長がフレンドリーだ。

ビサンのメニュー

アラカルトのページ。(1/9)

サラダ&ペーストのページ。(2/9)

肉&ケバブのページ。(3/9)

メインディッシュのページ。(4/9)

セットメニューのページ。(5/9)

デザートのページ。(6/9)

ドリンクのページ。(7/9)

シーシャのページ。(8/9)

パレスチナの本格家庭料理。それは、中東で待つ優しい母の味。(9/9)

「パレスチナの本格家庭料理。それは、中東で待つ優しい母の味。」と、メニューにあった。パレスチナの家庭料理であり、おかんの味。確かに、わかる。どっちも知らないけれど、そう言いたくなる雰囲気ではあった。

メニューには、ファラフェルやフムスやケバブなど、日本でも知名度の高い料理がちらほらあった。トルコアイスもあって、それはそれで食べたいと思った。「まるっと中東の定番料理を食べてみたい」という人も楽しめる内容だと思う。

ビサンの料理がおかんかどうかは、この時点ではわからなかったが、いろいろと優しいことには間違いないと思う。それは店長の喋り方からして、耳でも感じていた。

ファラフェル

1300円。ハート型か?

「ファラフェル/Falafel」とは「ひよこ豆のコロッケ」のような料理だ。パレスチナと食文化をほぼ共有するイスラエルでは、イケアのホットドック売り場(の横)にも売ってる。ソウルフードと言ってよいと思う。

ビサンのファラフェルの断面。

イスラエル料理屋だと、ファラフェルを主力商品としている(というか凝っている)お店が多い印象だけど、ビサンはそうでもなさそうだった。肩の力が抜けていて最高に美味しい。力んでないという意味で、おかんが作ってる感じはあるかもしれない。

「クミンとコリアンダー風味の手作り豆コロッケ」という感じだった。例えとしてのコロッケではなく、本当にコロッケという感じ。パレスチナ、というか十条、という感じで、イスラエルのファラフェルではない感じだ。美味しさは明明白白。

フムス

900円。

「フムス/Hummus」は「ひよこ豆のディップ」のような料理だ。ひよこ豆、ニンニク、レモン、タヒーニ(中東のゴマペースト)が含まれるが、必ずしもこの通りではない。日本でも家庭によって味噌汁に差が出るような感じで、幅がある。

お店によって、クリーミーだったり、レモンの酸味が強かったり、タヒーニが濃かったり、ひよこ豆のテクスチャが露わだったり、いろいろある。表記もいろいろあって、「ホンモス」とか「ホンムス」とかある。ピタパンで食べるのが一般的だ。

ビサンのフムスは水分量は多くてクリーミーで、タヒーニと塩が濃いめだった。ニンニクも感じる。かなり好みだ。このとき人生で初めてフムスを食べ(させられ)た友達も、「美味い美味い」と言っていた。人類にとって美味しい味なのだと思う。

ファラフェルチェック

ごちそうさまのとき、店長から「ファラフェルチェック」を受けた(嫌な感じじゃなくて)。ファラフェルチェックとは私が勝手に使ってる言葉で、「ファラフェルをなぜ知っているかの質問」という意味だ。日本でたまにある。

チェックの内容は(というかべつにチェックじゃないけど)、「中東に行ったことがあるか」「どこでファラフェルを食べたのか」といったものだ。イスラエルのテルアビブに住んでいたと伝えた。店長は「あーなるほど」となっていた。

この瞬間、お店で一番激しいノンバーバルコミュニケーションが発生していたと思う。店長もテルアビブに住んだことがあるらしい。他の客との会話では「イスラエルに帰ったときに」など言っていた。おかんのレシピはそのとき学んだらしい。

店長の話がおもしろく、意図的に訓練しないと習得できないレベルの言語(日本語)を使いこなしていることにいちいち気づけなかった。ノンバーバルでもバーバルでも興味深いコミュニケーションが味わえた。

ビサンのファラフェルとフムス。

もうイスラエル料理ということで話を進めてしまうが(厳密にはイスラエル料理は無い)、ファラフェルとフムスは、「イスラエル料理の名前を3つ挙げよ」という質問があれば確実に挙がる2つだ。

その2つをピンポイントで注文したので、何かが伝わったのかもしれない。店長は「みんなファラフェルはあんまり頼まないし」みたいなことを言っていた。ビサンはイスラエルにあるが、ここはイスラエル料理屋ではなさそうだった。

今回のおしながき

ビサン/Bisan
ファラフェル/1300円
フムス/900円

ビサンのHP

Bisan: Tokyo’s only Palestinian restaurant – Sushi Sandwich

Bisan (ビサン) is Tokyo’s only unequivocal Palestinian restaurant by Chef Sudki Mansour Sudki from Bisan (or Beit She’an in The Northern District of Israel). Bisan’s store board says “Bisan Palestinian Cuisine (ビサン パレスチナ料理)” in Japanese with a photo of The Old City of Jerusalem including The Temple Mount.

ビサンの住所:東京都北区中十条2丁目21−1 1F

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