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イスラエルのテルアビブに住んでいます。がぅちゃんです。コロナ禍が誘発した国内の卵不足に伴い、ふだん見慣れない「液卵パック」が近所のスーパーに出現。これを機に、「液卵」で卵料理をあれこれ作ってみました。
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コロナ禍の、イスラエルのスーパーの入店待ち。
スーパーに緊急配置された「液卵パック」
本来、イスラエルのスーパーの卵売り場には「卵パック」が並んでいる。ひとパック12個入りというのを除けば、日本と同じだ。いちおうイスラエルでも、それが「一般的な卵パック」ということになっている。
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一般的な卵パック。買う前に中を開けて、不備をチェックするのも一般的。
2020年の4月は、イスラエルの正月「ペサハ」があった。ペサハでは「ゆで卵」を食べる習慣があるのだが、コロナ禍の都市封鎖(ロックダウン)の実施期間と重なってしまい、予想外の卵不足が起きた。
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卵パックだけが消えた、卵の棚。
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「卵パックは一人1つまで」という旨のメッセージ。
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そこで登場したのが「液卵パック」。一本717円(23.90シェケル)。
食料自給率が8割を越えるイスラエルでさえ、この時ばかりは「卵」を海外から緊急輸入した。それでもまだ足りないということで、「液卵パック」がスーパーの棚で台頭したのだ。
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初対面だったので特別な撮影をした。
液卵パックを観察
外見のフォーマットは完全に「牛乳パック」。売り場で初めて見たときは「珍しいデザインの牛乳が置いてあるなあ」くらいに思っていた。色は、味気ないイエローじゃなくてオレンジがかっていて、なんか甘そうだ。
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液卵パック。
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「液体・全卵・殺菌済み」と、英語とヘブライ語で書かれている。
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ニワトリのイラスト。えらいもんで、体内がマっ黄色だ。
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夕張メロンみたい。
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キャップが付いているのも、牛乳パックと同じ。
注いでみる
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「使う前によく振れ」と、なんだかワクワクさせる忠告。
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注いでみると、この上なく「トロォ」っとしていた。
イスラエルの液卵パック、夕張メロンみたいな雰囲気を出すけど、いざ注がれると、ほぼカスタードクリームだ。匂いでみると、ホットケーキとかのスイーツ生地みたいな、あわい香りがする。ニオイの属性が、(私が言うところの)赤ちゃん系だ。
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200グラムです。
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イスラエルで見た食べ物の中で、一番トゥルトゥルなテクスチャだった。
スクランブルエッグをつくる
観察しただけでは、卵なのかどうか、ちょっと信用できない。だからオーソドックスな卵料理「スクランブルエッグ」を作ってみることにした。これが卵であるかぎり、そう大きく失敗することはないだろう。
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我が家のキッチン。
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バターをひく。
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いざ!
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液卵がボウルから離れたがらない。
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この粘り気。いいホットケーキが焼けそうだ。
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これは果たして正解なのか?
液卵をフライパンに注いでみても、見た目は完全にホットケーキ。脳が「ホットケーキ作り」を始めてしまい、「ではちゃんとホットケーキ焼けるかな?」と、騙し絵みたいな錯覚をおこす。我が家のスクランブルエッグ作り史上、初の不安がよぎった。
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ヘラを動かして、液卵の正体を見破っていく。
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スクランブルされていく液卵。
さっきまでホットケーキだったのが嘘みたいだ。機械的にヘラを動かしていたら、なんだかんだで、勝手にスクランブルエッグになった。どうやらイスラエルの液卵パック、間違いなく卵が入っている。
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完成したスクランブルエッグ。
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ホットケーキだった頃が嘘みたい。
食べただけでは、まさかあの液卵パックを使ったとは、誰も気づけないと思う。「アイツ、昔ホットケーキだったんだぜ」と言っても、もう誰も信じてくれないだろう。すごいな黄身たち。
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ごりごりにアメリカナイズされて、あの頃の面影がもう無い。
液卵を駆使して、べつの卵料理も作る
イスラエルの液卵は「卵を相当がんばって混ぜた」状態になっている。つまりその強みは「混ぜる必要の無さ」にあると思う。ということはつまり、卵を相当がんばって混ぜる必要がある卵料理に使えば、こうかばつぐんなのではないか!
液卵でカルボナーラ
我が家では、カルボナーラを作るときは、クリーム無しの「イタリアンローマスタイル」を採用している。だから今回の具は、ベーコン・油・液卵・チーズだけ。ベーコンと油で炒めたパスタを、液卵とチーズでひたすら混ぜて作る。
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液卵とチーズをボウルにセット。本来なら、この時点で重労働だったはずだ。
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油でベーコンを炒める。
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ベーコンとパスタを炒める。
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パスタをボウルに移して液卵と絡める。いとも簡単に混ざった。
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クリームを入れるな! とローマ人に怒られそうなくらい、明らかにクリーミー。
液卵 de プリン
プリンは一筋縄でいかないと聞く。なぜなら、溶き卵をなめらかにするために、混ぜたり濾したり、かなり手間をかけるべき! とされているからだ。しかし制作工程自体はシンプルで、溶き卵に沸騰した牛乳を入れて混ぜ、加熱後に冷ますだけだ。
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砂糖入りの沸騰した牛乳を液卵に注ぐ。本来なら、この時点で重労働だったはずだ。
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牛乳と液卵をスプーンで混ぜたやつをカップに注ぐ。
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カップごと10分蒸して、一晩冷やす。
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大して手間をかけてないのに、たった1日で一人前のプリンになった。
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スペインでは「フラン・ド・レチェ/Flan de Leche」と呼ばれているらしい。
イスラエルの液卵の導入は、我が家のキッチンのブレイクスルーかもしれない。性能は自家製の溶き卵をはるか上回っているし、そもそも「まずは溶き卵を作る」という不可避の工程をスキップできる。完全にチート食材だ。
チートチャーハン
「殻を割るって何のハナシどす? ウチは蛇口から卵ですけど?」くらい、脳がすっとぼけている。冷蔵庫から、牛乳の感覚で液卵パックを取り出し、料理を派手にキックスタートできる。圧倒的なリードが与えられた、せこいレースをしている気分だ。
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液卵を注ぐ。もちろん、この家で卵はひとつも割れてない。
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米を加える。
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混ぜる。
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コショウをまぶす。
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できあがる。
「溶き卵を作る」くらいの集中で、チートチャーハンは作れた。そして言うまでもなく、液卵の使用は真っ当な時間短縮だった。あと洗い物も減るし、台所の理を変えるゲームチェンジャーだ。今度からは、むしろ液卵パックを優先的に買いたい。
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チート雑炊も作った。
ここだけの話、試しに作った「液卵雑炊」が相当な美味さだった。プリンやカルボナーラに匹敵する。卵がすでにフワフワだから、「実は手間をかけた一品」みたいになった(混ぜてチンしただけなのに!)。チートチャーハンより美味で悔しい。