「世界ごはんたべ記」のせつめい
「世界ごはんたべ記」はライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか、など自由に書いています。
海外での生活が長いので、異国のお店はよく登場すると思います。でも「世界」と名乗っている手前、母国のお店もたくさん発表していきたいです(か?)。
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前回の記事「#74 大阪のうどん屋/つるとんたん・宗右衛門町店」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら。
ゴールド・ファラフェルとは
ゴールド・ファラフェルの看板。
「ゴールド・ファラフェル/Gold Falafel」は、大阪のにある「ファラフェル/Falafel」の専門店だ。ファラフェルとは、中東地域でよく食べられる豆のコロッケのこと。むかし住んでいた中東のイスラエルでは、ピタパンで挟んでサンドイッチにした「ファラフェルサンド」がソウルフードの頂点に君臨しており、イケアのホットドッグ売場にさえファラフェルサンドが売っていた。
イスラエルのイケアの、ファラフェルサンド。
イスラエルのイケアの、ファラフェルサンド。(こんな感じで売ってる)
そんなファラフェルを専門に取り扱っているのが、ゴールド・ファラフェルだ。大阪や京都にはファラフェルをうりにしている有名店はいくつかあるが、「ファラフェル専門店」と言い切ってるのは、今のところゴールド・ファラフェルだけだと思う。前々から気になっていた。というか、気になりすぎていて行けない、みたいな歪んだ片思いのようなことになっていた。だからすこしビビリながら行った(自分に)。
ゴールド・ファラフェルの雰囲気
ゴールド・ファラフェルの最寄駅「東部市場前/とうぶしじょうまえ」駅。
ゴールド・ファラフェルがある「東部市場前/とうぶしじょうまえ」駅は、そんなに大阪大阪していない。世の中が思い描くO★SA★KA! を演じてない。ふつうの住宅街が展開していてリアルだ。とはいえ大都会の天王寺(てんのうじ)駅から2kmで1駅(3分)というアクセスなので、O★SA★KA! から大阪へ、バグってワープしてしまったような感じがした。
東部市場前駅の、前の通り。
ゴールド・ファラフェルの外観。
かわいい遊戯王、のようなアートが目を引く。
ごりごりの日本の住宅街に、バッキバキのファラフェル屋がある。気をてらったりしていないのに(だからこそ)、非日常な感じがあった。そこには道があるので、チャリに乗ったおっちゃんなども通る。当たり前のことだ。この感じをイスラエルで例えるならば、地中海沿いの街中に立ち食い寿司屋があって、その前をサーフボードを担いだにぃちゃんが通る、のような感じだ。
サーフボードを担いだにぃちゃん(の例)。@テルアビブ/イスラエル
念のためだが、ゴールド・ファラフェルは、べつにイスラエルをレペゼンはしていない。あくまでも「ファラフェル専門店」だ。ドイツで食べたファラフェルがきっかけで誕生したお店だそうで、ファラフェルのレシピはスウェーデンのレバノン流ファラフェルの名店を参考にしているらしい。(私のファラフェルの最寄りの思い出がイスラエル由来なので、私が勝手にイスラエルイスラエル言ってる。)
ちなみにレバノンはイスラエルの隣国で、両国の食文化は似ている(どちらも広義では「レバント料理/Levant Cuisine」と呼ばれる)。
ゴールド・ファラフェルのメニュー
ファラフェルのセットのメニュー。(1/4)
ピタサンド(ファラフェルサンド)のメニュー。(2/4)
サイドメニュー。(3/4)
ドリンクメニュー。(4/4)
ゴールド・ファラフェルのメニューは、ファラフェルを食べることを前提に構成されている(と言ってよい気がした)。「ラップ」「プレート」「サラダ」「丼」「ピタサンド」の5パターンでファラフェルを楽しめる。ファラフェル以外にも、ドリンクやサイドメニューも非常にいい感じだった。好きなものを少しずつカスタマイズできそうな内容で、楽しい。ファラフェルは1個130円から売られている。ソースが選べるのだが、1の「タヒニ」が一番おいしいと視た。
「謙虚なソース」という名の、むしろ逆にとがってるホットソースもあった。
ピタサンド
ファラフェルの「ピタサンド」。シュッとしている。
色彩が可憐だ。
ゴールド・ファラフェルの「ピタサンド」のサイズは、大と小が選べる。小(600円)を選んだ。ちなみに大は900円なのだが、小が900円でも私は文句を言わないだろう。それくらい、おいしく美しい。なにかがヘンにトガッたりしておらず、アーシー(earthy)な野菜や、すっきりした酸味のピクルスや、コリアンダーの風味を存分に感じる。旨い畑を食べてる気分。きっと痛風フレンドリーだ(私のように痛風を恐れている人に相性のいい料理という意味だ。痛風そのものには敵対している)。
ファラフェル。日本で食べたファラフェルのなかで一番好きかもしれない。
ゴールドのファラフェルとは言ったもんで、たしかにそこそこ金色だった。ファラフェルは一般的に、クミン、コリアンダー、パセリ、ニンニク、タマネギ、ヒヨコ豆が含まれる。そいつらを油で揚げたものをかじった瞬間の総合的的な食感や風味が、ファラフェルの正体(だと思う)。ここにもそれがいた。ファラフェルの風味はぶわっと来るが、決して肩で切った態度じゃない。つよい。イスラエルで最高峰と言われていたファラフェル屋のファラフェルにも似ていた。つぎつぎ食べたくなる。
イスラエルで最高峰と言われていたファラフェル屋のファラフェル。@ハコセム
ピタサンドがテーブルに届いた瞬間から、こいつァ好きなやつだという感じであった。でもそんなビジュアルのハードルを軽々と超えてくるやつがいた。それが、ソースの選択肢1の、特製の「タヒニ*」だった。抜きん出てやれ! とかしていないのに、隠しきれない美味しさ。ミント、パセリ、ニンニクetcが含まれており、店員さん曰く「いちばん手がこんでいる」ということだった。疑えない。(*本来のタヒニは中東のねりごま)
たしかにちょっとドイツ
ドイツのベルリンの有名なケバブ。@ムスタファの野菜ケバブ/ベルリン
ゴールド・ファラフェルのファラフェルサンドの風味や美しさは、むかし住んでいたドイツの首都・ベルリンで食べたドネルケバブを思い出した。「ムスタファの野菜ケバブ」という、ベルリンではかなり有名なお店だ。トルコからの移民が多いドイツではドネルケバブが定番フードになっていて、ベルリンではもう「名物ドイツグルメ」くらいの状態になっていた(日本のラーメンに近いかもしれない)。
そんなベルリンの名物ケバブである「ムスタファのケバブ」にあったフレッシュさが、ゴールド・ファラフェルのファラフェルの「ピタサンド」とオーバーラップした。ゴールド・ファラフェルのルーツでもある、ドイツ、ヨーロッパ、レバノン料理がひきつぐレバント料理のバイブス、そういった文脈をピタサンドから感じた。
ごめんやしておくれやして
ゴールド・ファラフェルの、店内の雰囲気。
レバノンとかイスラエルとかドイツとか京都のファラフェルガーデンとかをせわしなく想像しながら食べていると、ごめんやしておくれやして、といった見事な感じで、他のお客さんが訪れた。常連さんのようだが、ファラフェルを食いに来たわけでもなさそう。「携帯電話のテキストがどうのこうの」と言っていて、いつもどおりという感じで店員さんに尋ねていた。店員さんも、いつもどおりという感じで、丁寧にレクチャーしていた。
またいつでもどうぞー、という声で一件落着し、おばちゃんは、ファラフェルを食べずにチャリに乗って帰っていった。
ゴールド・ファラフェルのロゴ。
ゴールド・ファラフェルの住所:大阪市東住吉区桑津4丁目12−32
出演-おしながき-
ゴールド・ファラフェル/Gold Falafel
ピタサンド/600円
ゴールド・ファラフェルのHP