テルアビブのヤッファで人気のグルジア料理レストラン「Tash&Tasha」

イスラエルのテルアビブに住んでいます、がぅちゃんです。

ヤッファのはしご酒エリア

テルアビブ・ヤッファのランドマークである時計台やフリーマーケットの近くにあり、国内でも人気のグルジア料理レストラン「タシュ&ターシャ/Tash&Tasha」。定番グルジア料理を食べつつ、「日本人がハマる」と言われることについても少し考えてみました。

テルアビブのヤッファはこんなところ

イスラエルやテルアビブについてあまり知らない人もいると思うので、ちょっと説明させてください。

テルアビブはイスラエル最大の経済都市で、国内人口第2位(40万)の都市です。地中海に面した人気観光地であり、各国の大使館などがあり、事実上は首都のように機能しています(イスラエルは「首都はエルサレム」と主張)。

そんなテルアビブの南に、圧倒的人気観光地のヤッファというエリアがあります。ヤッファは世界で最も古い港町の一つと言われており、イスラエルが建国されるずっと前(3500年ほど前)からありました(イスラエルは1948年建国)。

ヤッファのランドマークである時計台の広場

テルアビブ観光の際は必ず訪れるような名所なのですが、あえてヤッファを日本で例えるならば、東京で言う浅草、京都で言う東山、頑張って大阪で言うとミナミみたいな感じでしょうか。

そんなヤッファでも特に人気の「ヤッファフリーマーケット/Jaffa’s Flea Market」 の近くに、 グルジア料理のレストラン「タシュ&ターシャ/Tash&Tasha」はあります。

ヤッファフリーマーケットの一部

グルジア料理のレストラン「タシュ&ターシャ」へ

というかその前に、「タシュ&ターシャ」 って何だ? と思うかも知れませんが、どうやらこれは人の名前のようです(ターシャはロシア人の女性の名前らしい)。ちなみにオーナーは「タシュタシュ」と言う名前でミュージシャンとしても活動しているようです。

独特なフローの音楽

ところでイスラエルのグルジア系ユダヤ人の人口は8万人ほどと言われています。なので国内にグルジア料理のレストランはそこそこありますが、タシュ&ターシャの人気はそれらの中でも結構上位の様子。

それでは「タシュ&ターシャ」 へいってみましょう。

お店の外観

金曜の夜の7時頃。イスラエルでは、本来ならば安息日(ユダヤ教徒が労働してはいけない時間帯)のタイミングですが、エントランスからは賑わっている様子が伝わってきます。

お隣にはユダヤ教徒が礼拝するための施設「シナゴーグ」があります。

看板にはヘブライ語で「タシュ&ターシャ」の文字。「W」みたいな文字は「ש:シュ」と発音します。 そしてヘブライ語は右から左に読みます。

お店の中の様子

タシュ&ターシャのダイニングエリアはこんな感じです。面積は普通なのですが(とはいえ右側にダンスホールがある)、天井が高いのでインパクトがあります。石畳の雰囲気がトルコやらクロアチアやらを思い出しました。

トルコ・イスタンブールにて。トルコの「塩振りおじさん」こと、ヌスレット・ギョクチェが経営するイスタンブールのステーキハウス「Nusr-Et」。(詳細記事

クロアチア・ドブロブニクにて。本物の要塞の中にある名物ナイトクラブ「Revelin」(詳細記事

予習なしでは理解しにくいメニュー

料理のメニューは1枚のプリントにまとめらており、ヘブライ語と英語のバージョンがあります。メニューにはイスラエルの定番料理もいくつかありますが、 ほとんどがグルジア料理です(当然といえば当然なのですが)。メニューはアルファベットで書かれているものの、「Khinkali(のちに登場)」のように、知らないと内容が想像しにくいパターンがほとんど。

もし予習ゼロで来た場合、どうしてもキャッチーなネーミングの「Naughty Fries(=わんぱくポテト)」などをオーダーすることになってしまうでしょう。ちなみに私のパートナーは食に興味がないので、見事にわんぱくポテトを頼みそうになっていました。私は「わんぱくは今度にしよう」と彼の提案を却下します。

定番グルジア料理を英語で簡略化した表

Ajapsandali = Ratatouille
Badrijani = Eggplant Involtini
Chibureki = Empanada
Churchkhela = Georgian Candy
Dambalkhacho = Georgian Cheese 
Khachapuri = Carbonara Pizza
Kharcho = Beef Soup
Khashlama = Beef Stew
Khinkali = Dumpling 
Lavash = Wrap Bread
Lobiani = Quesadilla
Lobio = Bean Hummus
Mtsvadi = Meat Skewers 
Pkhali = Vegetarian Meet Balls
Shila Plavi = Mushroom Rissotto 
Tonis Puri = Pita Bread

余談はこれくらいにして、 実際に食べてみます。

お通しセットのピクルス

イスラエルではハンバーガーショップでもピクルスのお通しがあるほど定番ですが、いつもとは違った、赤くて酸っぱいキャベツのピクルスが出てきました。味はトルコのトールシ(Torshi)に似ていますが、それより一段も二段もガツンと強い味。私は濃い味が好きなので、美味しく感じました。

「キムチ三人前」くらいのボリューム

ピクルスに加え、2種類のディップもついてきます。 一つはトマト、もう一つは 酸っぱいコリアンダー(パクチー)のソース。お通しは飲食店の顔見せジャブだと思っているのですが、 ここらへんで「グルジア料理は酸っぱいのかな」というイメージが湧きます。

左:トマト、右:コリアンダー

前菜のパンと緑のおかず

お通しのピクルスを消費するために、何かパン的なものが必要だったので頼みました。しかしそんなパンに緑のおかずがついてきます。これは嬉しい誤算。

ちなみにこの緑のおかずはコリアンダーとナッツ(多分クルミ)のペーストだそうです。 店員さんはとっさに「ペスト!ペスト!」と説明していました。 「ペスト/Pesto」はバジルソースのスパゲティのことで、アメリカなどでもよく食べられる定番メニューです。なるほど。

グルジアのナス料理「バドリジャニ/Badrijani」

グルジア料理の定番メニューと言われるバドリジャニ。焼きナスでナッツ(クルミ)のペーストを巻いた料理です。タシュ&ターシャでは、ペーストにタヒーニ(中東のごまペースト)を混ぜていて、イスラエル(もしくは中東)らしいアレンジでした。

34シェケル/1,020円

ちなみにイスラエルでナスのグリルは定番中の定番です。そこにタヒーニをかけて食べることがほとんどなので、バドリジャニはイスラエル料理とグルジア料理の中間にある食べ物のようにも思えました。

これはイスラエルのナスのグリル。丸ごと焼くパターンが多い。ガザから30kmの港町・アシュドッドの地中海料理屋「Pavella」にて。

グルジア料理の代名詞「ヒンカリ/Khinkali」

グルジア料理の代名詞といえるほど有名な料理がこの「ヒンカリ」です。小籠包にとても似ていますが、中の肉の風味が違います。 おそらくクミンが入っていると思うのですが、 肉だけインド料理(?)のような感じ。中国とかインドとか、アジアの風味が印象的で、この食べ物はイスラエルには無いなという感じ。ちなみにこのお店では3種類の具(牛肉、マッシュルーム、チーズ)が選べます。

55シェケル/1,650円

カルボナーラのような「ハチャプリ/Khachapuri」

ハチャプリもヒンカリと同じぐらい有名な料理です。中央にチーズと卵を乗せて焼いたパンです。ぐちゃぐちゃにかき混ぜてカルボナーラのようにして食べます。 ホワイトソースとかチーズとかこの手の食べ物が好きな人は絶対にハマる味がしました。パンが しっとりしていて、フレンチトーストを作った時のあのパンの感じになっています。もうとにかくお腹がふくれます。62シェケル/1,860円。

卵の黄味が乗った状態で提供される

卵を潰してチーズとかき混ぜる

ケバブのような「カバビ」

ラムケバブは多分グルジア料理じゃない気もするのですが、というか、イスラエルでラムケバブを注文すると出てくるラムケバブが出てきます。文句なくしっかりおいしいです。ちなみにグルジアでは肉の串焼きのことを 「カバビ/Kababi」と呼ぶそうです。ほぼ同じですね。

82シェケル/2,460円

グルジアの名物キャンディ「チュルチヘラ/Churchkhela」

グルジアのデザートといえばこれ(とよく言われている)。元々は棒状で、外見が独特なキャンディーです。グルジアの路上で売られてる写真が面白いので興味のある人はググってみてください。タシュ&ターシャでは、一口サイズにカットされて出てくるので、奇妙な棒状の姿が見たかった私は少し幻滅しました。

食べてみると、ほんのり甘い黒糖風味のシリコンにくるみが包まれているといった感じです。食べたことのない食感だったので、もっと理解したくて、ついたくさん食べてしまいます。32シェケル/960円。

以上が全てのメニューです、美味しゅうございました。

余談になりますが、やっぱりイスラエルは食費が高いなと思いました。グルジアは物価が安いのでヒンカリが1個30円くらいで食べられるそうですが、タシュ&ターシャだと一個400円。10倍以上!さすがはイスラエルプライス。

おまけ:ライブも見られる

食事を食べている途中に、歌手らしき方がパフォーマンスを始めます。 おそらくグルジア語だと思うのですが、ちょっと陽気な演歌みたいな曲でした。音楽に合わせて近所のテーブルの家族が踊り出したりと、愉快な雰囲気に。

店内でパフォーマンスする歌手

親戚(のような人)に担がれて踊らされる子供

写真を撮りまくる人々

食後はハシゴ酒を推奨

タシュ&ターシャは、観光地のヤッファ・フリーマーケットの近くにあるのですが、この辺りはバーやレストランがたくさんあって賑やかなので、はしご酒したい気分になります。夜に散歩すると楽しいです。

ただし、ヤッファフリーマーケットは17時ごろには閉まるので気をつけてください。

閉店したフリーマーケット

グルジア料理が日本人の舌に合うと言われていることについて

最後に少しだけ。

グルジア料理はなぜか「日本人の舌にあう」「日本人がハマる」などと言われます。それなら、クミンやコリアンダーをよく使ったり、ケバブが母国料理になってたりする、イスラエル料理やギリシャ料理やトルコ料理にもハマると思います。

イスラエルの定番料理「ファラフェル/Falafel」もクミンやコリアンダーを使う。「世界一のフムス」でギネス記録を更新したアラブ料理の店「アブゴーシュ」にて。

グルジア料理が好きな人は、多分ギリシャ料理とトルコ料理とイスラエル料理も好きですし、「グルジア料理は日本人の舌に合う」のであれば「イスラエル料理は日本人の舌に合う」にもなり得ます。グルジアの料理の一部が日本料理と似ていて舌に合うことを否定はしませんが、そんなにでは無いだろうと思っています。

ギリシャのケバブ「スブラキ/Souvlaki」。定番ギリシャ料理8選の記事より。

日本では、昆布だし、めんつゆ、ポン酢、しらす、もずく、ひじき、納豆etc、地中海や中東で類似が見出しにくいものが一般的に食されていると思うので、このあたりをすっ飛ばしてるなという感じです。要するに何が言いたいかというと、日本料理よりイスラエル料理の方が、グルジア料理に似ているということです。つまり、グルジア料理は日本人よりイスラエル人の舌に合うのではと思うわけです。

グルジア料理のレストラン「Tash&Tasha」の詳細

住所:Beit Eshel St 31, Tel Aviv-Yafo
営業時間:月〜木・17時〜0時、金土・12時〜0時、日曜休み

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