世界ごはんたべ記#58 京都のイタリア料理屋「サイゼリヤ」

「世界ごはんたべ記」のせつめい

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。

海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。



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サイゼリヤとは

これは調味料と捉えてる。

「サイゼリヤ/Saizeriya」は、日本で展開するイタリアンレストランのチェーンだ。これをわざわざ説明するのはどうかと思ったが、言うとスッキリするので書いてみた。サイゼリヤは、故郷の京都でも「サイゼ」で通っている。イントネーションは「はなげ」と同じだ。サイゼに初めて行ったのは小学校の高学年のときだったと思う。「あやしいイタリアンレストランがあらわれたぞ」という噂が流行ったので、家族でかけつけた。安さどうのこうのより、ハンバーグが美味しかったので合格としたのを覚えている。

「びくどん以外の部」で、一位。

小学校から20年以上たち、私は完全に別人になったにもかかわらず、サイゼはサイゼでありつづけてる。これはすごいことだ。ホームページの「サイゼリヤのこだわり」を読んでみると、えらいもんで、名言が多い。そしてそもそも読みやすい。つまり美しいのだ。サイゼは美味しさの定義を「毎日たべても飽きないこと」と定義している。その例えに「空気」を用いたうえで、「シンプルは美味しい」というオチにつながってて、なかなかつよい。「油の使用を極力控える(店舗にフライヤーは置いていません)」という一文が、深くてシビれた。

私は、チリやオリーブオイルをぶっかける。

サイゼリヤの雰囲気

ミラノ出身のあいつ。

これはチェーン店なので当然なのだれど、「どこに行ってもサイゼはサイゼ」というのがすばらしい。入ったとたんにファミレスの匂いがして、「日本にかえってきたァ」という感じがする。日本特有のマティキュラスで高度な言葉遣いが、イタリアの歌謡曲のフローにまざって響きわたる。トイレまでおいかけてくる、あのカンツォーネ。個室で放尿している最中には、自分のためだけにコンサートライブが開催される。あ゛〜サイゼだな、って感じがたまらない。

サイゼリヤで流れてるカンツォーネの曲をまとめたプレイリスト。

むかしと変わらないサイゼ。でも2021年5月に京都の店舗を訪れたら、注文が記入式になっていて、クールな側面をみた。もう昔のまんまじゃないんだな、と感じた。つるんでた友達をバイト先で見かけた気分だった。注文を書き終えて、用紙をテーブルに置いて、ひとりドリンクを取りに行った。テーブルに戻ると、店員さんが立っていた。はてさて? でもなんか嬉しい。どうやら注文用紙を読み上げたかったらしく、私が座るのをまってから、マティキュラスに読み上げてくれた。うむ。グラッツェだ。

サイゼリヤのメニュー

2021年5月のメニュー。

サイゼリヤは確かに安いんだけど、安いってだけでもないと感じる。本来ならサンドイッチとして一品で提供される料理の具材を分解して、それぞれを単品として提供している。という感じがする。ハムとチーズと野菜とパンと…とかやってたら1000円くらいにはなるので、サイゼのサンドイッチは、むしろちゃんとしたやつだと思う。美味しいし。いっそ食べ放題とかにしたら、私だったら、ちょっと通うと思う。

プロシュートとプチフォッカ。

アロスティチーニ

400円。

初対面の奴がいてびっくりしたので、挨拶しておいた。「アロスティチーニ/Arrosticini」という、ラムの串焼きだ。イタリア中部でアドリア海に面する「アブルッツォ州/Abruzzo」の郷土料理らしい。サイゼは料理のコンセプトを「南イタリア料理」と「地中海式食事法」に関連させてるので、地中海の一部であるアドリア海ぞい出身のアロスティチーニは、かなりまっとうといえる。イタリアの北の果てにあるミラノから来たあいつよりは。

アロスティチーニのテクスチャ。

クミン、パプリカ、ハーブ(オレガノとか)、うまみ成分つよめの塩、のような味。

つけると中東料理みたい。

ホットソースとオリーブオイルとチーズをかけたりもした。

アブルッツォの州旗。「緊急事態が発生したファミマ」みたいな色だ。Image:CC0

アメリカのニュアーク空港のレストラン「アブルッツォ」。

アブルッツォのオムレツ(朝たべた)。これで1595円。

ラムのラグースパゲッティ

600円。

これをふだんのミートスパにしてほしいくらいだった。サイゼ史上いちばん美味しいと思う。「ラグー」は肉の煮込みを意味するそうで、えらいもんで、「肉を食ってる」と実感した。メニューには「ラム肉の大人の味」とコメントがあり、「ラム肉という奴が成長して大人になったやつの味」かとドキドキしたが、そういうことではなさそうだった。「大人」がどこにいるかは、どこを探しても見つからなかった。ちなみに「ラム/lamb」は、「1歳未満で永久歯がはえていない羊」のことらしい。

チーズは最初から含まれてた。

ラムオイルが香る、イスラエルの攻めたケバブを思い出した。@マハネユダ/エルサレム

サイゼリヤの意味

ローマ時代の遺跡がのこる、イスラエルの「カイザリヤ国立公園」

「サイゼリヤは、イタリアンワイン&カフェレストラン」である、というのがまずひとつ。もうひとつは「サイゼリヤ/Saizeriya」自体の意味だが、ネットで見る「花の名前説」には個人的にあまりピンときてない。サイゼリヤというと、地中海ぞいにあるイスラエルの「カイザリヤ/Caesarea」を思い出す。カイザリヤで食べたギリシャ料理屋のイスラエル料理(仮)がおいしかったので、またいきたい。ちなみにイスラエルもギリシャも、地中海料理ではある。

かんぜんにイスラエル寄りな、ギリシャ料理屋のラムケバブ。@Limani Bistro/カイザリヤ

イタリアの料理の記事いちらん

サイゼリヤ・京都河原町通店の住所:京都市中京区奈良屋町2952F

出演-おしながき-

サイゼリヤ/Saizeriya
アロスティチーニ/400円
ラムのラグースパゲッティ/600円

サイゼリヤのHP

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