世界ごはんたべ記#64 イスラエルのレストラン「アブゴッシュ」

「世界ごはんたべ記」のせつめい

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。

海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。



前回の記事「#63 イスラエルのファラフェル専門店/ハコセム」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら

アブゴッシュとは

アブゴッシュの外観。

「アブゴッシュ/Abu Gosh」は、イスラエルの「エルサレム地区」にある、有名なレストランだ。「エルサレム地区」は「エルサレム県」のようなことで、「嘆きの壁」とか「聖墳墓教会」がある(あの)エルサレムからは、10kmほど離れてる。ちなみに、アブゴーシュがある村の名前も「アブゴッシュ」という。アラブ系イスラエル人が管理する、人口8000人ほどの地方自治体だ。

アブゴッシュの道路。

「JUDO」「AIKIDO」、ヘブライ語、アラビア語。

地域としてのアブゴッシュは、イスラエルで「フムスのメッカ」として認識されている。「フムス/Hummus」はひよこ豆のペーストで、イスラエルではイケアにも売られているソウルフード。「世界最大のフムス」を作ってギネス世界記録を更新した場所が、このアブゴッシュだった。レストランのアブゴーシュのオーナーが発起人となり、50人のシェフと共に、4トンのフムスをこしらえたらしい。

アブゴッシュでの、ギネス世界記録の授賞式(?)の様子。

「世界最大のフムス」は、2010年1月に認定されたそうだ。でも同年の5月に、隣国であり敵国のレバノンが、10トンのフムスをつくって記録を更新した。両者のこのやり合いは「フムス戦争」と呼ばれている。でも誰も傷ついてないし、むしろ良好な関係だと思う。やっぱフムスは好きです。って、仲良しか。エルサレムも、「東フムス」「西フムス」とかにしたら…とか思わなくもない。

アブゴッシュが掲げてる、ギネス世界記録の看板。

アブゴッシュの雰囲気

アブゴッシュの外観。ガレージがひろい。

アブゴッシュは、観光でたまたま訪れない地域だと思う(車で移動しないかぎり)。レストランのアブゴッシュに来てる人は、ほぼほぼ、「きょうはアブゴーシュで食べるぞ」という気持ちで来てると視た。土曜のイスラエルでは、ユダヤ教の安息日(あんそくじつ)の影響で、多くの店が閉まる。でもアブゴッシュは開いてる。アラブ系のレストランの典型だ。これも人気の理由だと思う。

店内の様子。

荘厳な印象。

アブゴッシュの店内には風情があった。「ひと昔まえのファインダイニング」というか。ナイフとフォークで洋食を食べてそうな雰囲気。「極道の妻(おんな)たち」で、岩下志麻が演じる環(たまき)の家っぽさもある。気をぬこうものなら、内藤やす子の「あんた」とか聞こえてきそう。でもちゃんと集中したら、水タバコがしっかり見える。ここがイスラエルかどうかはわからんが、中東ではある。

水タバコや食器。

アブゴッシュのメニュー

ドリンクメニュー。

フードメニュー。

イスラエルの定番料理のなかでも、中東系のコンフォートフードがせいぞろい。という感じ。フムス、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)、ケバブ(肉の串焼き)。うっかり「アラブ料理」とか言ってしまいそうでもある。渡されたメニューは、ヘブライ語と英語だった。アラビア語のメニューも、頼めばくれそうではある。このあたりはイスラエルらしいと感じた。店員のおっちゃんは、当然のように英語を駆使してた。

つきだしのピクルス。

つきだしのピタパン。

フムス。松の実がトッピングされている。ふわふわ系。750円(25シェケル)。

とにかく「ファラフェル」「フムス」「ケバブ」を注文した。アメリカ料理でいうところの「ピザ」「パスタ」「ステーキ」みたいなことだ(ちょっと違うか)。ファラフェルはひよこ豆のコロッケで、イスラエルにはイケアにも売ってる。都市部ではピタパンでサンドイッチのようにして食べるのが主流だけど、アブゴーシュでは、えらいもんで、ほんとにコロッケみたいなバイブスだった。めちゃくちゃおいしい。

ファラフェル。450円(15シェケル)。

ファラフェルのお手本みたいな、マットな黄緑。

いちおうファラフェルは、ひよこ豆、タマネギ、ニンニク、イタリアンパセリ、クミン、コリアンダーが含まれるのが一般的。アブゴッシュのファラフェルは、王道の味。百万点満点ささげたい。

ファラフェルの記事いちらん

ケバブ

チキンケバブ。1860円(62シェケル)。

ラムケバブ。1860円(62シェケル)。

2種類のケバブを注文した。チキンケバブとラムケバブだ。チキンケバブはヤキトリ、ラムケバブはラムつくね。そんな感じだ。イスラエルには「ケバブ=つくね」みたいな暗黙の了解が存在する。わざわざ「つくねラムケバブ/Ground Lamb Kebab」と表記されてたのが、丁寧だと感じた。トルコでちょっと感じた、見よ、この職人技を! みたいなものは一切なかった。美味しい。

イスタンブールで食べた、ピスタチオのケバブ(630円)。隙のない成形。

イスラエルの定番ケバブ3種類と12品の解説

アブゴッシュの裏名所

エルビス・アメリカンダイナー。

アブゴッシュには、アブゴーシュより有名かもしれないレストランが、一軒だけ存在する。「エルビス・アメリカンダイナー」だ。エルサレム(地区)の裏名所として名高い(私の中で)。「町で一番のハンバーガー」を名乗っているが、フムスやピタパンも、べらぼうに美味い。鳴り物いりかと思いきや大真面目なのも◎ 「エルビス・プレスリーの博物館」みたいなことになってて、アツかった。また行きたい。

エルビス・アメリカンダイナーの、フムス。地域のレベルの高さを感じた。

アブゴーシュの住所:Kvish ha-Shalom 65, Abu Ghosh, Israel

出演-おしながき-

アブゴーシュ/Abu Gosh
フムス/Hummus/25 ILS/750円
ファラフェル/Falafel/15 ILS/450円
チキンケバブ/Chicken Skewers/62 ILS/1860円
ラムケバブ/Ground Lamb Skewers/62 ILS/1860円

次の記事「#65 イスラエルのコーシャステーキハウス/ゴシェン」