海外キマグレごはん#12 トルコのイスケンデルケバブ

「海外キマグレごはん」の企画説明-おしながき-

「海外キマグレごはん」では、私が海外で食べたごはんを紹介します。日本国外で食べた自炊以外のごはんなら、なんでも紹介したいと思っています。ただし、何を「ごはん」とするかは、その日の気まぐれで決めようと思っています。

そしてこの企画、必ずしも「海外らしいごはん」ばかりではないです。「イスラエルのケバブ」の日もあれば「イスラエルのラーメン」の日もきっとあります。私はイスラエルに住んでいるので、イスラエルで食べた料理の発表は多くなる見込みです。

とはいえ、アメリカのハンバーガー、イタリアのピザ、クロアチアのクロマグロなど、できるだけ多くの国から多岐にわたる料理を紹介したいと考えています。何卒、よろしくおねがいいたします。



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好奇心が本気を出せば、

トルコのイスタンブールを旅行した。現地の観光者のほとんどは「イスティクラル通り」に行く(と思う)。それは約1.4kmの大通りで、毎日、約300万人が訪れるらしい。そこに行く感覚というのは、東京の外国人観光客が「渋谷スクランブル交差点」を拝みにゆく感覚に似てるのかもしれない。

イスティクラル通り。

イスティクラル通りには多種多様な店がズラーッと並んでいて、ケバブ屋も多い。伸びることや焦らすことで有名なトルコアイス屋もあるし、路上パフォーマーもいる。夜は、立ち食いムール貝さえ売っていた。好奇心が本気を出せば、丸一日とかは余裕で時間を潰せるほどのドラマがあった。

シュッとしたケバブ屋。

有名な路面電車。

なにかのデモ。

アッパーな路上パフォーマー。

ダウナーな路上パフォーマー。

トルコアイス屋(と自撮りおじさん)。

ムール貝(midye dolma)。

おじさんも色気を出してきた

そんなイスティクラル通りでたまたま立ち寄ったのが「Sütiş Kebap Dünyası(読めない)」というレストランだ。この日の私は「トルコ料理」が食べたかった。ぱっと見、スシとかは作ってなさそうだし、活気もあった。客引きのおじさんも色気を出してきたところで、いざ入店だ。

まるでギャングスタな様子だけど、気さくな人だった。

1階はテイクアウトの客で賑わっている。

このお店には、どことなく日本のファミレスのような雰囲気があった。変に力んでなくて、安定感のあるシゴトで繁栄している気配。どの料理も「平均点やや上」を叩き出しそうな感じがした。この日の私は、実は「イスケンデルケバブ」狙いだったので、迷わずそれをオーダーした。

2階の飲食エリアの様子。天井の低さに愛着がわく。

お店のロゴがデザインされた食器類。

しれっと資金力が匂うレストランだ。

アレクサンダーケバブ

イスケンデルケバブうんぬんの前に、そもそも、ケバブには複数の種類がある。「トルコのケバブ」は「日本の和食」くらいザックリしている(と視た)。聞いたことないような名前の「定番ケバブ」がすでに数種類あって、その中でも特に目立つのが、イスケンデルケバブだ。

ケバブのページだけで、こんなにある。

では「イスケンデル」とは? これは人名らしい。現在のトルコ北西部の都市「ブルサ」の「イスケンデル/İskender」さんが、19世紀のオスマン帝国時代に発明したそうだ。イスケンデルは「アレクサンダー」とも読めるらしいので、「アレクサンダーケバブ」と呼んでもよいかもしれない。

やってきたイスケンデルケバブ。

イスケンデルケバブは、見た目が独特だ。ケバブっぽくない。まず、皿にトルコのピタパン(ピデ)の細切れを敷き、ラム肉のスライス(ケバブ)で覆う。そこにトマトソースと、溶かした羊のバターをかける。あとはヨーグルトを添える。付け合わせはトマトとトウガラシがデフォルトだ。

ラム肉をめくると、おあげさんみたいなピデが隠れている。

味の思い出はというと、ラム・クミン・トマトの風味が大半を占める料理だった。私(とユリゲラー)が暮らすイスラエルにもケバブの種類が複数あるが、イスラエルには無いタイプだ。まさにトルコのケバブ! という感じ。他の料理で、例えがすぐ思いつかない。

家庭版・イスケンデルケバブ。

でも無理やり、他の料理で例えてみると「ペパロニピザ」となる。要するにフラットブレッドの上に肉のスライスを乗っけて、トマトソースと乳製品をかけているからだ。ちなみにピタパンの「ピデ」は、ピザの語源と考えられたり(られなかったり)するらしい。

でもトルコで「ピザ」をオーダーすると、それは「ラフマジュン/Lahmacun」になった。イスケンデルケバブは、あくまでもケバブなのだ。

ラフマジュン。@Hamdi/イスタンブール。

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