世界ごはんたべ記#106 東京のそば屋「楽庵」

「世界ごはんたべ記」の説明

「世界ごはんたべ記」は食レポです、と言ってよい気がしますが、違う気もします。1エピソードにつき、1軒のお店を紹介します。「世界」と名乗っている手前、異国のお店も母国のお店も登場します。



前回のエピソード「#105 東京の居酒屋/権八」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら

楽庵とは

楽庵の看板。

「楽庵/らくあん」は、東京の新宿御苑前にある、そば屋さんだ。「手打ち そば処」と手書きのようなフォントで言っている。新宿御苑前というか、日本最大のゲイエリア「新宿二丁目」にある。新宿二丁目が厳密にどこからどこまでかはわからないが、ゲイエリアだと思っているところを歩いていたら、あった。

楽庵の雰囲気

お店の外観。

お店の中の様子。

隠れ家のような様子はない、というか、おもいっきりメインストリートに面しているので、目立ってる。ゲイエリアのうわついた感じに対し、しらけたような態度で妙にうまく溶け込んでいるように見えた。ちょっと深夜食堂を思い出す。

店内では、ピアノのジャズのようなBGMが流れていた。日本のゲイサウナみたいで風情がある。客は少なくなく、会社の同僚4人で食事中といった様子のグループがいて、男女先輩後輩がごちゃまぜになった会話がラジオのような心地よさで響いていた。

あの人はもう仕事にやる気が無いけれど家庭があるから家でいろいろ大変なのだろうから職場でああなるのは仕方ないのでそっとしておいてあげよう、といったハイコンテクストな会話だった。難しすぎて日本語のリスニングの練習になった。

その話を聞いている時の私の視線。

楽庵のメニュー

1/3。

2/3。

3/3。

そば屋。と言えばそれまでな内容で、安心感のような気持ちが溢れた。カレー南蛮とか明太うどんとかもあって、現代すぎない現代のジャパニーズコンフォートフードのお店だと感じた。おかしな食べ物が一切なくて、メニューを何回も何回も何回も読んだ。何回読んでも内容は同じだった。

穴子天せいろ。1750円。

穴子天ら。

圧倒的に美味しいそばだった。これが人体ならshredded。

メヒカリ

メヒカリの唐揚げ。800円。銀色のやつはレモン。

「メヒカリ」。唯一読解できない単語だったので、解読するしかなかった。一撃で意味がわからなかったし、同僚たちのおしゃべりを超える難易度だった。メヒカリは魚で、「アオメエソ」と呼ばれているらしい。味はキスに似ている気がしたが、そんなことより料理のクオリティの高さに気をとられていた。

目が光っているかどうかはわからなかった。からっとしている。

タイマン

楽庵をまっすぐ見つめた。

楽庵には、たまたま入店した。サイゼリヤとか王将に行こうかなというテンションだった。なんとなく、イタリアンよりチャイニーズよりジャパニーズな舌だったので、この世界に吸い込まれていった。この状態の入店を私はタイマンと読んでいる。タイマンで私は基本、負けない。

タイマンでは予想>実際。これが常だ。もうタイマンはしねー、つまらねー。など調子をぶっこいては言っていた。だが楽庵は強く、私は更生させられた。もうタイマンをしないなんて言わないよ絶対〜

今回のおしながき

楽庵
穴子天せいろ/1750円
メヒカリの唐揚げ/800円

楽庵の住所:東京都新宿区新宿2丁目13−10 武蔵野ビル 1F

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