世界ごはんたべ記#62 京都のレバノン料理屋「汽」

「世界ごはんたべ記」のせつめい

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。

海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。



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Ki: Kyoto’s only Lebanese bistro – Sushi Sandwich

Ki (汽) is such a sophisticated, fast casual bistro in chic Gojo in Kyoto City. It’s impossible to tell if it’s really a Lebanese restaurant until you read the menu. Ki’s ever-so-minimal menu offers the classic repertoire of Lebanese cuisine (or Levantine cuisine) such as hummus, falafel, and shawarma.

汽とは

汽のロゴ(兼、看板)。

「汽/きー」は、京都の五条にあるレバノン料理のレストランだ。正式には「汽 [ki:]」という。お店のHP(インスタグラム) では、「レバノン料理」「ファストカジュアルレストラン」となっている。もともとはフランス料理を作っていたシェフが腕を振るっているらしい。2021年5月15日にオープンした(かなり最近だ)。

汽の雰囲気。

レバノン料理

汽の「ファラフェル(手前)」と「フムス(奥)」。

レバノン料理とは「レバノンでよく食べられる料理」のことだ。フムス(ひよこ豆のペースト)、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)、シャワルマ(ほぼケバブ)、などが有名だ。でもこれらの発祥レバノンではないので、近隣国でも似たような(というかほぼ同じ)料理が食される。

典型的なレバント料理。@ファットゥーシュ/ハイファ・イスラエル

レバノンの料理は、「レバント料理(Levantine Cuisine/地中海系中東料理)」と総称される。レバノンの隣にある敵国「イスラエル」にむかし住んでいたのだが、「イスラエルの定番料理」はレバノンのそれと似てる。レバノンの料理とイスラエルの料理の分けるのは、醤油でヤマサかキッコーマンを分ける、くらいの感じだと思う。

イスラエルの様々なフムス。

そんなレバノン料理をファストカジュアルでやってるのが「汽」だ。ファストカジュアルとは、「一流の料理をもっとカジュアルに体験」みたいなことだ。アメリカの「シェイクシャック」とか「チポトレ」も、それにあたる。ちなみにイスラエルの、うまい店のバイブスは、汽のバイブスと似てるかもと感じた。

イスラエルのテルアビブにある、うまい店「ビシクレッタ」

まるでヤキトリのような、牛串(withチミチュリ)。

汽の雰囲気

「五条の木屋町(きやまち)通り」に、汽はある。ここはしぶいエリアだ。たぶん名店しかない。京都最大の繁華街「四条河原町/しじょうかわらまち」から1km南にあり、都会の派手さは無い。が、強い。ドラクエとかで、ラスボスの直前のフロアで急にまたモンスターが強くなるみたいな感じがある。

高瀬川がある。

汽の外観。

高瀬川の対岸から覗いてみても、かっこいい。

道に、木が香ばしいBBQの匂いが漂っていた。匂いをたどると、汽にたどりついた(プーさんか)。汽が気を放ってる。エントランスには薪がつまれてて、ログハウスの匂いがした。扉を開けると、グリルされた野菜や肉の香りと溶けてく。煙たくはない。においのレイヤーを潜り抜け、結界の先の世界とかに迷い込んだ気分だった。

積まれてた、木など。

店内の様子。「食堂」という雰囲気。

ダイニングテーブル。

エントランスにオープンキッチンのカウンター席、奥にダイニングエリアがある。京都の家を彷彿とさせる、こじんまりした空間。ダイニングエリアには楕円のテラゾー製のテーブルが待ち構えていて、「やっべ」となった。なぜだかわからないが、私はテラゾーを見るとすごい興奮する。

長いテラゾーのアタマのところ(オシリの可能性もある)に、座った。

くびれてるタイプのコップだ。

汽のメニュー

水や食器はセルフサービス。

メニューは、エントランスのレジ横のタブレットに表示されていた。注文もそこでする。先払い制。内容は、ドリンク、プレート、単品、デザート、という具合。プレートには、「チキンシャワルマ」「ビーフシャワルマ」「ファラフェル」「野菜」などあった。ドリンクとプレートを頼んでる人が多かったように思う。プレートにはフムスやピタパンもついてるので、料理を網羅できるようになっている。

ステッカーなども売っていた。

シュラブ

600円。メロン+キュウリ+コリアンダーのシュラブ。

ドリンクがめちゃくちゃ美味しそうだった。というのも、エントランスの一番目立つところに、ドリンク制作エリアがあったから。外からも見えていて、「バーかな?」となる。「美しき、風味と香りオタク」みたいなバイブスが漂ってて、「ドリンクラボ」と呼ぶにふさわしい状態だった。ちょっと憧れる。「メロン+キュウリ+コリアンダーのシュラブ」を注文した。

かるく混ぜてから飲むことが推奨されていた。

「シュラブ/Shrub」は酸味を帯びたドリンクのことで、「フルーツのビネガー」と呼ばれることもある。例えば「アルコール0%の甘いシャンパン」は「ブドウのシュラブ」と呼べるのかもしれない。汽のシュラブは、「天然のメロンソーダ」を飲んでいる気分だった。このままの風味でサラダとして登場してくれても喜ぶくらい、美味だった。

ファットーシュ

600円。日本語では「チョップドサラダ」と表記されていた。

「ファットーシュ/Fattoush」は、レバント料理の定番サラダのことだ。トマト、タマネギ、キュウリなど含むグリーンサラダに、揚げたフラットブレッド(ホブス)が和えられているのが一般的。汽のファットーシュには、カリッと焼かれたピタパンが乗っていた。ピタパンにかかってた油がバターのような風味で、すごい好みだった。

ピタパン。灰色なのがめずらしい。

単品はこんな感じ。野菜などの灰を混ぜているらしい。苦くない。

サラダには、ロメインレタス、ミニトマト、赤タマネギ、シシトウ(たぶん)、など含まれてた。赤タマネギやシシトウの苦味◎ ドレッシングの酸味◎ カイエンのような辛さ◎ ハーブが豊富に含まれてて、バジル、ミント、コリアンダー(パクチー)、ヤロウ(たぶん)、など感じた。ハーブが好きな私の食指がボコボコいかれた。

サラダのテクスチャ。

イスラエル人は、これを食べて「ファットーシュだ!」と思わないかもしれない(そもそもレバノン人じゃないんだけども)。でも私は、イスラエルで食べたファットーシュより好きだった。というか、いままで食べたサラダのなかで、最高の部類の味だった気がする。とくに、フレッシュの部でブッちぎっていた。

イスラエルのイタ飯屋のガーデンサラダがファットゥーシュだったのを思い出す。

ファラフェル

1000円。なにやら白いソースが含まれている。

「ファラフェル」はひよこ豆のコロッケで、クミン、コリアンダー、タマネギ、ニンニク、など含まれるのが一般的。レバノンやイスラエルを含む、レバント料理の代表格と言っていいと思う。レバノンの隣のイスラエルでは、イケアにも売ってた。汽のファラフェルは、かなりていねいに成形されてて、美しい球体だった。風味はかんぜんにファラフェル。

たこやきクラスのすべすべ感。表面の色はイスラエルのより黒め。

ファラフェルのなかみ。

「ファラフェル」の記事いちらん

汽のファラフェルは、イスラエルのよりは黒めで苦味があった。それはそれで渋くてよかった。ちょっと日本のコロッケ屋を思いだす。ファラフェルの下にはフムスも含まれていたように思う。フムスはひよこ豆のペーストで、ファラフェルと並び、レバント料理の二大巨塔(少なくともイスラエルでは)。汽のフムスはクリーミーで酸味がつよめだった。マヨネーズがよぎる(アガる)。ソースのようにして食べた。

汽のフムス(単品)。400円。

イスラエルでよく感じた、タヒーニ(ゴマペースト)の味はしなかった気がする。

ビーフシャワルマ

900円。フムスつき。

すくなくともイスラエルでは、シャワルマはドネルケバブと同意だ(知らんがな)。その基準でいけば、シャワルマじゃないのかもしれない。でも、私が過去に食べたどのシャワルマよりも美味しかった。イスラエルの東京「テルアビブ」でたべた有名なラムケバブを思い出す。あれも、「あなたはそっちを名乗っちゃだめ」と言いたくなるほど、旨かった。

シシトウも隠れてる。

牛肉はミディアムとかだった気がする。まずまずもって、肉が旨い。塩コショウが効いてる。そんな奴がフムスの上にのっかってる。もうお手上げだ。肉には緑のソースがかかってた。チミチュリ、orグリーンサルサ? スクッグ(Zhug)? イスラエルなら、このどれもがありえそうな味だった。コリアンダーとビネガーの味。シャワルマかどうか、とか、もうけっこうどうでもよくなるくらい、美味しかった。

バイブスはこれだった。フムス&シャワルマ@ハコセム/テルアビブ。

フレーバーの解釈の際、イスラエルの記憶だけが頼りな自分がもどかしくて、レバノンに行ってみたくなった。レバノンの本気を知りたい。

大豆のソースが聞こえる

ダイニングエリアの天井。

サンルームのようになっていた。天井から光がふりそそぐ。曇ったりすると、料理の明度が変わる。おそとでごはんを食べてる気分だ。でも雨が当たる音がして、室内にいると気づく。雨音に混じって、アンビエントで飾りっ気のないピアノのBGMが脳にすべりこんでくる。客の会話も聞こえた。

ダイニングエリアのライト。

音声の7割は海外の話だった。イタリア、フランス、LA、NY、京都、神戸、など、いろんな地名が登場した。イタリアの知人の話、フランス料理の話、京都の物価はアメリカと比べて異様に安いという話。誰もレバノンのことは喋ってなかった。レバノン生まれのキアヌリーブスとか、マトリックスとかの話は誰もしてなかった。

マトリックスで一番おもろいシーンはこれだと思う。

食事中、登場人物もシナリオもぜんぶ知ってる話を聞いてる気分だったけど、急に「大豆のソース」という新キャラが登場した。誰や。プレートが運ばれてくるたびに、店員さんが食べ方の説明をする。「フムスや白い大豆のソースをピタパンに塗って、具をつめて食べるといい感じです」のようなことを言っていた。

豆乳、みたいなことか。

白い大豆のソース、あの白いやつ、大豆だったのか。出演者の顔が全員みえて、すっきりした。

京都の記事いちらん
イスラエルの記事いちらん


「汽 」に似てるお店↓↓

・料理がにてる、大阪・本町の「フィルクトミエール」
・雰囲気がにてる、京都・五条の「ロリマー京都」

汽の住所:京都市下京区都市町149

出演-おしながき-

汽 [ki:]
シュラブ/Shrub/600円
チョップドサラダ/Fattoush/600円
ファラフェル/Falafel/1000円
フムスディップ/Hummus Dip/400円
ビーフシャワルマ/Beef Shawarma/900円
ピタパン/Pita Bread/300円

汽 [ki:]のインスタグラム

Ki: Kyoto’s only Lebanese bistro – Sushi Sandwich

Ki (汽) is such a sophisticated, fast casual bistro in chic Gojo in Kyoto City. It’s impossible to tell if it’s really a Lebanese restaurant until you read the menu. Ki’s ever-so-minimal menu offers the classic repertoire of Lebanese cuisine (or Levantine cuisine) such as hummus, falafel, and shawarma.

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