「世界ごはんたべ記」のせつめい
「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。
海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。
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前回の記事「#31 大阪のタコス居酒屋/タコフィニ」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら。
ラクイイッカイとは
ラクイイッカイの外観。「アルコールサーフィン(?)」 とある。
「ラクイイッカイ」は京都のホットスポット「四条烏丸/しじょうからすま」にある。ダウンタウンだけど、ダウンタウンというよりは、ホットスポット。味わいぶかいモノが集結した地域といった印象。イスラエルのテルアビブでいうところの「ナハラベンヤミン通り」だ。誰がわかるねん(俺がわかる)。
ナハラベンヤミン通り。
ナハラベンヤミン通りの人気店「ブルット」。
ブルットはかんぜんにビストロ。
関連記事:世界ごはんたべ記#24 イスラエルのフレンチイタリアンレバントビストロ「ブルット」
京都のラクイイッカイをひとことで説明するなら、「洋風居酒屋」。でも「ビストロ」のほうがしっくりきそう(意味はほぼ同じだけど)。フランスやイタリアあたりのヨーロッパの食文化を取り入れた、現代日本料理のお店。日本人のための料理。でもタテ文字よりはヨコな雰囲気。コンセプトは「おだしとワイン」。
エントランスの看板。
ラクイイッカイの雰囲気
こじんまりしてる。奥には割烹スタイルのカウンターテーブルがある。
「いけてる日本の飲食店」のお手本みたいな雰囲気がある。海外のバイブスはとくに無い。ユニバーサルな品がある。こりゃほんまもんの日本のうまい店…というバイブスがビンビンだ。さりげなく飾られた「京丸うちわ」がグゥのねも出ないほどに京都で良い。
京丸うちわは、芸妓さんや舞妓さんの名刺のようなもの。
ラクイイッカイのメニュー
フードメニュー。
本日のスペシャル。
ドリンクメニュー。
「ドリンク」「フードメニュー」「本日のスペシャル」「揚げだし料理(後述)」。日本人が「こりゃうまい!」と反応してまうものを、海外の食文化も取り入れてキュレーションした感じ。たいへんな作業だと思うし、敬服した。バイブルなメニューだ。「今の日本料理、こんな感じです」と外国人の友達に教えたい。
本日のスペシャルは壁にもドーンと掲示されてる。
完全に話が脱線するが、イスラエルにあるエルサレムの名店「マハネユダ」のメニューをイスラエル人が見たときの気持ちが、きっとこんな感じなのだろう。ラクイイッカイのメニューのおかげで、イスラエル人の気持ちが(勝手に)わかった。
マハネユダのメニュー。
関連記事:世界ごはんたべ記#13 イスラエルのレストラン「マハネユダ」
カルパッチョ
1500。クロダイ。
「本日のお魚カルパッチョ・サラダ仕立て」とある。クロダイだった。肉厚で歯応えがある。オリーブオイル以外、つよく味はついてない。「魚を食ってる感」がぜんりょくで感じられる。この感じ、「イスラエルのサシミ」を思い出した。「イスラエルのサシミ=日本のカルパッチョ」説(持論)は、これにていったん証明された。
イスラエルの刺身。@マハネユダ/エルサレム
イスラエルの刺身。@ブルット/テルアビブ
イスラエルの刺身。@ルーフトップ・マミラ・ホテル/エルサレム
ラクイイッカイの刺身。
ポテサラ
鰹節は、日本のパルメザンチーズだと思う。
メニューに「ポテサラ」と記載されていた。省略名称で完全疎通できる感じ、アメリカの「Mac&Cheese(マカロニ・アンド・チーズ)」みたいだ。歯応えと風味に飽きがこない。「メンマ」「ショウガ」「キュウリ」「ベーコン」「天かす」が含まれているそうだ。皿と同じくらい紅い煮卵、な〜んでテッペンで割っちゃうんだろうね。
パッカ〜ンいったった。
イノシシのロースト
2700円。
「京都丹後産ジビエ・イノシシロースト」。100gから選べるのが嬉しい。ポークチョップといえばそれまでだけど、アメリカとかでバクバク食うブタという感じではない。鴨ローストとかを彷彿とさせられる。クレソン、サツマイモ、リンゴ(おそらく)、塩、胡椒、ゴールデンマスタード、ハリッサが添えられている。
なんていうか、情緒がある。
ハリッサは北アフリカ発祥のペースト。
サツマイモが美味くて笑えた。「つけあわせ」としてはもう役不足な美味しさ。ポークチョップにはアップルソースが定番だけど(ってアメリカ人の彼氏がゆってた)、日本ではふつうの食べ方ではない。リンゴはそこそこ主役なのにお忍びで遊びにきてる感じ、キアヌリーブスみたいで好感がもてた。
サツマイモ。
揚げだし
揚げだし料理のメニュー。
揚げだし料理は、ラクイイッカイの看板のようだった。専用のメニューがある。具とおだしを組み合わせてオーダーする。だしは3種類:「基本のおだし」「トンコツおだし」「本日のおだし」。27通りの組み合わせが存在し、一回の食事ではとうてい制覇できそうにない。そら、「また来なきゃ」となるわな。
だしまき×トンコツおだし
720円。
「トンコツおだし」に浸された、だしまきの揚げだし。トンコツおだしはラーメンみたいに濃厚ではなくて、「トンコツ風味の、おだし」という感じ。「基本のおだし」で割ってあるそうだ。だしまきはあっさりしてて(単体でも食べたい)、おだしと絡んでいい塩梅。やさしくて、ロリマー京都の「卵と牛乳の厚焼き」を思い出した。
紅しょうがとねぎ。
おとうふ×本日のおだし
950円。
「久在屋さんのおとうふ」と記載されていた。「久在屋/きゅうざや」は京都の豆腐屋で、デパートの高島屋でも手に入る。「本日のおだし」は「ノージャンルなおだし」となっていた。ふむふむ。友達は「クラムチャウダー」と言っていた。わからなくもない。が、「ニューイングランド地方」は思い出さなかった。
クラムチャウダーは、アメリカのニューイングランド発祥。@キャプテン・カルロス/マサチューセッツ州
えび天・生ハム×基本のおだし
1000円。
たぶんこれ、キラーアイテムだ。めちゃつよい。「基本のおだし」は、「京都鰹節株式会社」が厳選した「削り節」と「天然昆布」を含むそうだ。UMAMIのプロたちの仕事が大集合してる。生ハムも相まって、海陸でUMAMIの津波と土砂崩れが同時発生。これを最初に食べてたら、他の揚げだしを頼んでなかったかもしれない。
ラクイイッカイさん
かわいい日本酒を飲みました。
ハートがいっぱい。
ラクイイッカイは、日本酒やワインも充実している。やけにチャーミングな店員さんが、より美味しい体験へと丁寧にアシストしてくれる。我々の酒の好みなど伺いつつ、理解力に応じて説明の難易度を調整してくれて、説明がスッと入ってくる。酒へのこだわりが無い私でも「だったら飲みたい」と思って聴講できた。
だからこうなる。「ウルトラマリン」という名前の、酒。
これがイスラエルやアメリカだと、「このワインはメルロ、これソーヴィニヨン」 という感じの説明だったりする(お店によるけども)。そうではなかったラクイイッカイの説明で、酒を選んだ。飲むと、聖闘士星矢の金ピカ戦士たちが入場してきたようなきらびやかさがあった。一口目のセンセーションが楽しい。
あとちょっとで、テーブルで売られてたお菓子に手を出すところだった。
そうそう、「ラクイイッカイ」ってすげー名前だなと思い、意味をいろいろ想像してた。答えは意外なところにあった。ラクイイッカイを漢字にすると「羅久井一介」。店主/ソムリエの、お名前だそうだ。
そうなってくると、「一介のラムソーダ」が俄然きになるところ。
ラクイイッカイの住所:京都市下京区白楽天町502 福井ビル1F
出演-おしながき-
ラクイイッカイ/羅久井一介
本日のお魚カルパッチョ・サラダ仕立て/1500円
ポテサラ/700円
イノシシのロースト/2700円
揚げだし:だしまき×トンコツおだし/720円
揚げだし:おとうふ×本日のおだし/950円
揚げだし:えび天・生ハム×基本のおだし/1000円
お店のHP