
自己紹介と、「グランパ恋愛日記」の説明
僕は30代の日本人です。彼氏は60代の米国人です。彼には孫がいるので、正真正銘のグランパです。ぼくたちの雰囲気を有名人で例えるなら、ミュージシャンの「岡崎体育」とアメリカ合衆国国務長官の「マイクポンペオ」がつきあってる、そんな感じです。
「国籍」「人種」「年齢」「性別」などといったカップルの要素のうち、どれか一つでもイレギュラーなら珍しいと言われます。でも僕たちは、全項目でイレギュラー。だからどんなコミュニティに属しても、いつもなんかの理由で浮きます。
そんなぼくたちについて綴ったのが「グランパ恋愛日記」です。
暮らしを記録したり、彼を観察したり、それらの感想を述べたりします。おじいちゃんとおにいさんが2人で暮らすテラスハウスみたいなものでしょうか。観察したいわけじゃないけど、2人きりだからばれちゃう。そんな、カップルのこぼれ話です。
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前回の記事「#4 ソーシャルディスタンスの導入」はこちら。「グランパ恋愛日記」の記事いちらん。
学歴
電話で彼氏に、「日本人の友達と喋った」という話をした。すると彼は、「喋ったら出身大学がわかると言ってたけど、わかった?」と言ってきた。たぶん言ってないけど、「話し方がなんかすごい人が、高学歴なことがある」とは言ったことあるかもしれない。
クリス・スリザの最終学歴が幼稚園卒、には見えない。
で、例の日本人の友達の出身大学は、わからない。というか、知らん。履歴書を見たわけじゃないから。
「話し方で学歴がわかる」ではなく「話し方と学歴は、関係してなくない」。「きみの友達も、あの話し方をするじゃん? で、彼らはしばしば高学歴じゃん? でもどこの大学出身かなんて知らねーじゃん? そういうの、あるよね」という、レイヤーを解説をした。「話し方と学歴に関連を感じる≠学歴がわかる」を説明した。
「レイヤーの解説=違いの説明」を、彼はけっこう嫌がる。今回も問題なく、平常運転で嫌がった。
ただ会話したいだけじゃん
「ただ会話したいだけじゃん」「イッツ・ジャスト・ア・コンバセーションンッ」って、彼氏はよく言う。「レイヤーの解説」に対する違和感とか、解説する私への嫌悪感とかを、ひとつずつ説明できずにいる。「イッツ・ジャスト・ア・コンバセーションンッ」という言葉で「モヤモヤにかんしゃくを起こし中」を表現する。
説明しすぎ? 認めよう。だが、あっちはしなさすぎる。味の引き出しがケチャップのみで、サイゼリヤとかより上等のイタリアンを批評しようとする。で、トマトソースの味がケチャップじゃないから、怒る(ペペロンチーノとかもケチャップじゃないから怒るけど)。
そんな態度だと、サイゼリヤどころかケチャップからも怒られるよ? イタリアも日本も母国も敵に回すよ? びゅるっと、濃いのがでちゃってる。

赤いマスタングだった。
彼氏は、「イッツ・ジャスト・ア・コンバセーション」を、「イッツ・ジャスト・ア・コンバセーションンッ」以外の言葉で説明しようとして、でもできなくて、イライラしてた。「もうなんかさ、お前さ、ドライブ、ドライブ、ドライブッ!」とかいう新表現も飛びだした。要するに「詰めてくんな」ってことだと思う。
この感じ、京都でスリークなお店に入ったとき、すぐに「スリーク」が出てこないもどかしさを思い出す。だって「和モダン」とかで絶対にかたずけたくないし。
ケチャップでジャッジ
ケチャップの話に戻る(戻るといってもケチャップは本題じゃないから、もうおかしなハナシなんだけども)。
そもそもケチャップは、ペペロンチーノやカルボナーラとはソースの属性が違うから、まずそれを踏まえないと、いろいろ無理がある。トマトソースをケチャップと比べるのは、まだわかる。でも、ペペロンチーノやカルボナーラを、ケチャップ基準でジャッジしていくのは強すぎでしょ。
ケチャップで説明できないもどかしさで、イライラを自主制作。それを別件のイライラとごっちゃにして、「そっちがケチャップで汚してきた」というストーリーが爆誕する。もうわかってやるが、自主制作の苦労と、嫌だなと感じることは、別なの。あのイライラと、そのイライラは、別。まずは落ち着いて。そして分けて。
でも彼氏は、ケチャップの汚れについては神に誓ってる様子だし、信じた奴がやったもん勝ちの世界-くに-では、そいつが優勝しておわり。おおゴッド。
クレイジードライバー

グアムを駆け抜けた。
ドライブ、ドライブ、ドライブ。こっちがドライブしてるのは、何回でも、ひとまず認めよう。でも、そっちも、今まさにドライブしてませんか? 一方通行の道でこっちからドライブ、あっちからもドライブ。何が起こる? 事故がおこる。片方がドライブしてたら、せめて併走、もしくはパーキングを提供しないと。
「無事故でパーキングで下車したい」など言うから、「はい! 臨時でフリーの路上パーキングやってまーす」と、私は気前よくやる。するとたいがい、猛スピードで車がつっこんできて、「お前もっと走れヤァ!! 走らんかったらどこ行くかわかれへんやんケェ!!」と吐き捨てていく。すっげ。やっべ。好き。
緊張感がある環境のほうが、脳の発育にはたぶん良い。ストレスだけど、無いのもヤだなという感じ。でも惚れたら地獄。って、なんかの映画でも言ってたな。
どうせ死ぬなら、笑って殺りたい。「俺、ドライバーなん? OK、 I’m an エイジアンドライバー、クレイジーに行きまっせ〜。エイジアンやし、しゃあないやろーゆうてw」と、かンンなりゲスい自虐で笑顔にしてやった。そしたらケタケタケタァわろて、「ほな○○○○にならんとなァw」みたいなこと、エンジン吹かせてかぶしてきた。
アメリカにおけるアジア人女性のステレオタイプ。
いやウマい、けどヒドい。ほんでさっきからアメリカの兄さん、まだ走ってはんの? そこず〜っと、パーキングでっせ。