イスラエル・エルサレムの「嘆きの壁」について解説

観光地としての「嘆きの壁」

このページでは、観光地としての嘆きの壁を解説します。 「嘆きの壁」は「嘆きの壁広場/Western Wall Plaza」という空間にあります。嘆きの壁広場は、「エルサレム旧市街」のユダヤ人地区(元・モロッコ人地区)にあります。

嘆きの壁広場の位置。

嘆きの壁広場の見所は主に4つ。「ウィルソンズ・アーチ」「西壁の地下トンネル」「ジェネレーションズ・センター」「嘆きの壁」です。嘆きの壁広場に入場するところから、以下の順で説明します。

1. 嘆きの壁広場への入場
2. ウィルソンズ・アーチ
3. 西壁の地下トンネル
4. ジェネレーションズ・センター
5. 嘆きの壁/Kotel

1. 嘆きの壁広場への入場

イスラエルでは一般的に、駅やショッピングモールなどの公共の建物に入る時は、エントランスでセキュリティチェックを受けます。ほぼ流れ作業で、体と荷物を金属探知機に通すだけです。

エントランスのセキュリティチェック待ちの行列。人は多いが流れは早い。

順番を無視できる(抜かす?)ユダヤ教徒がちらほらいる。

注意書きには「聖地なので粗相の無いように」と書かれている。

この中でセキュリティチェックする。空港のような環境だが、約5秒でおわる。

エントランスの真横に出口がある(混雑の原因のひとつ)。

セキュリティチェックの説明。「安息日モードに設定中」と書かれている。

エントランスを通過してすぐの、嘆きの壁広場。

エントランス付近にある、爆弾処理の釜。

嘆きの壁広場の様子

嘆きの壁広場がある場所は、元々は「モロッコ人地区/Moroccan Quarter」でした。イスラエルが1967年の第三次中東戦争で破壊した後に整備し、現在は観光客も自由に訪問できるようになりました。

イスラエル国旗が掲揚されている。左の仕切りの約50メートル先に嘆きの壁がある。

広場自体は「嘆きの壁を触りに行ってる人を待つ場所」のようになっている。

飲める水場がある。ユダヤ教徒は祈る前にカップ(Natla)で手を清める。

両手を片方ずつ洗う作法(Netilat Yadayim)に対応していて、取手が2つある。

無料のお手洗いもある。(中の洗面所にも同じカップがある)

矢印がさっきのエントランス。

2. ウィルソンズ・アーチ/Wilson’s Arch

嘆きの壁の左角にある建築物(アーチ)です。アーチの内部はホールのような空間になっていて、ユダヤ教徒が祈る場所となっています。なお、ホールの内部でも嘆きの壁(西壁)に触れることができます。

ウィルソンズ・アーチの場所。

ウィルソンズ・アーチのエントランス。

中の様子。(右側が嘆きの壁のつづき)

壁に向かって活動するユダヤ教徒。奥には「聖櫃(せいひつ)」がある。

聖櫃の布かけには「エルサレム神殿(ヘロデ神殿)」がデザインされている。

3. 西壁の地下トンネル/Western Wall Tunnel

西壁の地下トンネルの図(右下が嘆きの壁広場)。Image by Joe DeRose

嘆きの壁広場(地上)で露出している「嘆きの壁」は、現存する西壁の一部にすぎません。西壁の全体に沿って掘り起こされたのが「西壁の地下トンネル」です。エルサレム旧市街のムスリム地区の地下を通っています。

「西壁の地下トンネル」へのエントランス。ウィルソンズ・アーチの左側にある。

営業時間(変更の可能性あり):日〜木・7時20分〜0時。金・7時20分〜昼12時。土&祝日・閉館。入場料35シェケル(1,050円)。

4. ジェネレーションズ・センター/The Chain of Generations Center

ユダヤ人と第三次中東戦争の歴史について学べる場所です。映像作品や90トンのガラスを用いた立体展示物が見学できます。展示物はユダヤ人目線でプレゼンテーションされており、その視点も見所として知られています。

ジェネレーションズ・センターの様子。ウィルソンズ・アーチの左側にある。

営業時間(変更の可能性あり):日〜木・9時40分〜23時。金・7時〜昼12時。土&祝日・閉館。入場料24シェケル(620円)。

5. 嘆きの壁/Kotel/Western Wall

幅が全長490メートルの「エルサレム神殿の西壁」のうち、57メートルの部分が「嘆きの壁」です。イスラエルでのアルファベット表記は「Kotel」が一般的。地上部分には「エルサレムストーン/ Meleke*」が28段積まれています(地下にも17段)。

ひとつひとつが冷蔵庫くらいのボリューム。 

お祈りする人々。

お祈りするIDF(イスラエル軍)の兵士たち。

「嘆き/Wailing」の語源となった所作。

嘆きの壁はイスラエルにとって最も重要な場所なので、海外のVIPがイスラエルを訪れる際は、嘆きの壁に参拝するのが通例です。2008年にはバラク・オバマ、2015には安倍晋三、2017年にはドナルド・トランプが訪れています。 

嘆きの壁に「祈りの手紙*」を置く安倍晋三。Screenshot via mosaicmagazine

「祈りの手紙」について

嘆きの壁では「神様への願い事を書いた手紙を置く」という、日本のおみくじにも似た習慣があります。この習慣は「Placing notes in the Western Wall」と呼ばれており、ユダヤ教徒やVIP訪問者が行います。 

人気の隙間は雪崩状態。

封筒もたまにある。

ゴミも混ざっている。

隙間という隙間に埋め込まれている。

嘆きの壁に置かれる祈りの手紙は年に2回あつめられ、東エルサレムの「オリーブ山/Mount of Olives」 に埋められるそうです。なお、手紙は誰にも読まれることはないそうです。

祈りの手紙を集める作業員。

*「エルサレムストーン」と「金の街」

エルサレムでは、建築物にエルサレムストーンを使うことが法律で決まっています。その結果、黄色っぽい石造りの景観が目立つため、エルサレムは「金の街/City of Gold」とも呼ばれます。 (エルサレムゴールドと呼ばれる石も存在する)

エルサレムのダウンタウンの様子@マミラモール。

石畳の地面。

我が家の床もエルサレムストーン(テルアビブだけど)。

嘆きの壁に触れる際の服装

嘆きの壁に触れる際は、男女でエリアが分かれています。それぞれの服装にも決まりがあります。 女性は「長ズボンor膝丈のスカート」と「肩が露出しない上着」の着用、男性は「帽子」か「キッパー/Kippah」の着用が必須です。

老若男女の模範的な服装。

男性は半袖・半ズボンでもOK。

キッパーは無料配布されている。

ナイロン製(紙製もある)。

女性にはスカーフの貸し出しがある。(写真は返却口)

嘆きの壁の営業時間(変更の可能性あり):年中無休。※安息日(金曜日没〜土曜日没)と祝日は入場不可。入場無料。

嘆きの壁のまとめ

P1:嘆きの壁とは、そもそも何か

・嘆きの壁の本体「エルサレム神殿」について
・嘆きの壁では何を嘆いているのか
・1900年ぶりに「奪還」した嘆きの壁
・「嘆きの壁事件」とは

P2:観光地としての「嘆きの壁」

・嘆きの壁広場への入場
・ウィルソンズ・アーチ
・西壁の地下トンネル
・ジェネレーションズ・センター
・嘆きの壁/Kotel

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