世界ごはんたべ記#12 大阪の多国籍料理屋「L&L」

「世界ごはんたべ記」のせつめい

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを思ったか……などなど、じゆうに書いています。

海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。



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イスラエル推しの多国籍料理屋「L&L」

お店の外観。

イスラエル料理屋だぞ! とは言ってないものの、「イスラエル 大阪」のキーワード検索にやたら引っかかるのが「L&L」だ。イスラエル出身のシェフ兼オーナー「レヴィ・リラン/Levy Liran」という人物が経営しているそうで、どうりで「L&L」か、とおちつく。

大阪・ミナミのなんば駅から徒歩圏内10分(700m)のアメ村にあり、このあたりにはシーシャが置いてあるパンアジアン*な飲食店が多い印象。L&Lはけっこう人気店のようで、「シーシャバー」とか「地中海料理屋」とか「多国籍料理屋」とかだと思われているようだ。

「カフェ&シーシャ」と書かれた、店頭のメニュー。

*「パンアジアン/Pan-asian」は「アジア全域の」といった意味で使われる言葉。タイカレーとかスシとか小籠包とかをごちゃまぜにして提供するタイプの料理屋は「パンアジアンな料理のお店」と言える。アジア地域限定のフュージョン料理といった感じ。

L&Lの雰囲気

目の前に道頓堀。

L&Lは道頓堀(どうとんぼり)沿いにあって、ちょっといかつい雰囲気がある。ぱっと見はイスラエル料理を出しそうにないが、店頭のサインやメニューを見ると「イスラエル」の文字がめだつ。

日本語では「イスラエル料理」とだけ書かれていて潔い。

平日限定スペシャルメニューの3/4がイスラエル料理。

店内はウッディなビーチハウスといった感じで、神経質に清掃を徹底してなさそうな雰囲気がかえって心地よい。これに関しては日本よりイスラエルっぽといえる。大阪駅前第3ビルの地下にあるイスラエル料理屋「ルディーズクラブデリシャス」に通づるバイブスを感じる。

L&Lの店内の雰囲気。

シーシャ。

奥にバーカウンターがある。

振り返るとこんな感じ。

ちなみにルディーズクラブデリシャスはこんな感じ。

ただしルディーズクラブデリシャスの場合、立地上、仕事がえりのサラリーマンが多そうなのに対して、L&Lは「あそびにきた」という感じ人が多そう。そういう意味では、空気はちょっとちがう。

L&Lのメニュー

地域のカラオケのフードメニューを彷彿とさせる(イスラエル料理を除いては)。

ごりごりのイスラエル料理。

イスラエルのカラオケのメニューでさえ、枝豆とかナチョスとか言ってるのに。

イスラエルのカラオケチェーン「PlugIn」。

L&Lは多国籍料理屋だと思っていたけれど、メニューを見るとすぐにわかった。ここはイスラエル料理屋なのだと。「イスラエル料理」のページには王道のイスラエルの定番料理が並び、イスラエルのおつまみやピタパンサンドイッチも充実している。しかもなんと、飲み放題つきの「イスラエル料理コース」まである。

その名も「THE イスラエルコース」。飲み放題つき2時間3500円。

おつまみコーナーにも、しれっとごりごりのイスラエル料理が紛れ込む。

イスラエルのガチローカルペイストリー「ブレカス」、日本のあんぱん級にご当地な「ザアタルのピタパン」、朝食の定番「シャクシューカ」、イスラエル料理筆頭候補「サビーフ」などなど。っておいおいおい、ほんまもんやんけ。L&Lはもっとイスラエルを前面に出していいと思う。

あなどっていた

じつはこの日、L&Lに来る前、ここから徒歩3分のとこにあるイスラエル料理屋「ファラフェル・サババ」で、すでにごはんたべを終えていた。要するに私はイスラエル料理をハシゴしていたので、おなかはそこそこふくていた。

L&Lはイスラエル料理を前面にだしていなかったため、後回しにしたのだった。だからメニューを見たとき後悔した。食べたいのいっぱいあるやんか……。

ファラフェル・サババ。

メニューの品揃えだけでいえば、ごめんだけど、大阪を代表する(?)イスラエル料理屋のルディーズクラブデリシャスより、ストリートフード推しのファラフェル・サババより、L&Lのほうが充実しているように見える。ダークホースとはまさにこのこと。

イスラエル料理プレート

このプレートはランチメニュー。

イスラエル料理といえば「フムス」と「ファラフェル」なので本当ならどっちも食べたいけど、お腹がNGだったのでファラフェルをトリアージした(さっきファラフェル・サババで推しファラフェルを食べたし)。プレートには、フムス、ケバブ、ピタパン、サラダ、スープがついて800円。リーズナブルだと思う。

フムス。

フムスはひよこ豆のペーストで、イスラエルにはイケアにだってある最強のメニューだ(ファラフェルもある)。お店の数だけ味があるフムスだけど、L&Lのやつは酸味が効いていた。クッソ…一番好みだと思っていたファラフェル・サババのクリーミーなフムスとおなじくらい好きだ。なんかくやしいぞ。

ファラフェルサババのフムス。色もぜんぜんちがう。

中東や地中海沿岸の各地で食されるフムスだけど、イスラエルのフムスの特徴はクリーミーなテクスチャと酸味。人気店はたいてい、クリーミーで攻めるかサワーで攻めるかといった派閥(?)にわかれてると私は勝手に感じてる。(とはいえクリーミーが主流な気はする。)

イスラエルの伝説的フムス屋「アブハッサン」のフムス。(詳細記事

イスラエルのテルアビブにある有名なアブハッサンのフムスは、もはやホイップクリーミーなテクスチャに加え、野菜由来の旨味がぎゅんぎゅんつまったピクルスジュース(だと思う)の風味が濃ゆい、ウマ酸味しっかりな唯一無二なあじわいだ。自分でもなにいってっかわからんが、ぜんぜんちがう次元の味がする。

つけあわせのピクルスジュース。フムスからもこの味がした。

L&Lはのフムスに話を戻そう。サワー派だけど酸っぱくはない…というか、サワーを探せばおった。そんな感じだ。クリーミーさはイスラエルのスーパーの既製品よりちょっとラニー*。そんなところか。ただし、サラダのドレッシングの酸味に負けてしまうので、隣同士で戦わせるのはちょっと損な気もした。

*「ラニー/runny」は「水気が多くて(テクスチャが)柔らかい」という意味。

サラダ。これにラディッシュのスライスとかがつけば、素材は完全にイスラエル。

ケバブ

ウインナーくらいのサイズ。

このプレートの面白いところは、牛肉のケバブがついてるところ。味も見た目もイスラエルのケバブだけど、風味がすごくやさしい。(おそらく)クミンが、一瞬くる。イスラエルだともうちょい香辛料の風味強めで、パセリもどっさり含まれるといったかんじ。

関連記事:イスラエルの定番ケバブ3種類と12品の解説

あとがき:「イスラエル料理」について

「イスラエル料理」と繰り返し表現していたので誤解のないようあえて説明おきたい。「イスラエル料理はまだ存在しない」という一般論がある。イスラエルは1948年に建国された若い国であり、国民のほとんどが元・移民。だから母国料理のルーツが海外に見出せる。ファラフェルやフムスはそもそも中東料理なので、食べて故郷を思い出すのはイスラエル人だけではない。

イスラエルの食については「In Search of Israeli Cuisine」がわかりやすい。

L&Lの住所:大阪市中央区西心斎橋2丁目16-13

出演-おしながき-

L&L/L&L Bar&Restaurant
イスラエル料理プレート/800円

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