「世界ごはんたべ記」のせつめい
「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。
海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。
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前回の記事「#17 イスラエルのラーメン屋/ ヒロ・ラーメンバー」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら。
ロリマー京都とは
お店の看板。
「ロリマー京都/Lorimer Kyoto」は、京都の五条にある朝食専門店だ。でも「朝食専門店」はロリマー京都の本質ではない。日本料理をつきつめたら朝食になった、みたいな気配を感じる。「正体の謎さ」も人気の理由のひとつだと思うので、まずはそのへんを説明したい。
ロリマー京都の「一汁三菜」。
ロリマー京都は、ある意味ではアメリカのレストランだ。NYのブルックリンの日本料理屋「OKONOMI/YUJI Ramen」を経営する原口雄次氏が、2018年4月にオープンした。日本の献立の基本「一汁三菜」というコンセプトに料理を落とし込んでいる。ミニマルな定食屋で、朝から昼までしかあいてない。故に朝食専門店。
アメリカの日本料理屋が京都にやってきたということで、ロリマー京都は「逆輸入」と言われている(すごくわかりやすい逆輸入の例だと思う)。料理はおおむね「トリッキーなハーブを使ったおばんざい」のような感じだ。ただしこれでは説明がたりてなさすぎるので、もちろん後述したい。
ディルとユズのピクルス。
ネタバレになってしまうが、料理には「食に(かなり)関心のあるアメリカ人に刺さる日本料理」となりそうな工夫がほどこされている。その工夫は、日本人の舌の上では「斬新」と変換される気がする。ディルとユズのピクルスとか、最たるもんだ。欧米先進国のジャパノロジスト相手に無双できそうな内容だと思う。
(韓国系アメリカ人シェフの「デイビッド・チャン」とかイギリスの料理評論家の「ジェイ・レイナー」とかに食レポしてほしい。)
ロリマー京都の雰囲気
お店の外観。
京都のなかでもしぶいネイバーフッド「五条エリア」に、ロリマー京都はある。五条は、京都最大のダウンタウン「四条河原町」からうっかり南に歩きすぎて「この先はもう何もない」と引き返したくなるような地域の、先にある。あの「木屋町通/きやまちどおり」が木屋町通であることを終了しだす、それが五条だ。
五条(清水五条)より北の、木屋町通。
五条(清水五条)より南の、木屋町通。
木屋町通からすこし離れた、ロリマー京都のネイバーフッド。
ごりごりの京都の街並みが展開する住宅街に、やや異様だけどうまく溶け込んでいる(からまたかえって異様な)ロリマー京都が現れる。白い外壁と、パリッとしたクリスタルクリアなガラスがたっぷり使われた、長方形で遊びたおした窓。ミニマルなのに遊び心のあるフォントで「魚」と書かれた看板。「目からアタリ*」のやつだ。
(*見た瞬間に、良いものとしてハッと直感できる状態。)
ロリマー京都の外観。
中の様子。
2階もある。
きょうびの京都のいけてる飲食店はどこもかしこもミニマル(だいぶ偏った感想だけど)。コンクリート調でモノクロームでオシャレですねといった印象。でもロリマー京都は白い。退屈じゃない。壁一面の木目が生むあたたかみなど。この感じ、「アジアン・ゼン/Asian Zen」を感じる。クールの解釈が日本日本してない。
トイレのスイッチはアメリカン。
ロリマー京都のメニュー
フードメニュー。
ドリンクメニュー。
メニュー構成は簡潔で、「飲み物5種」「定食3種」「一品複数」。あとは口頭で告げられる秘密のスペシャルメニュー(べつに秘密ではないが、私はそんな気分になった)。定食系は「一汁三菜」と「一汁五菜」「一汁五菜+日本茶ペアリング」のみ。一品は「定食に含まれる具を追加できるオプション」という感じなので、料理メニューは実質2品。
おもちかえりもある!!
一汁三菜
1500円。
「一汁三菜」には、固定メニューの「今日のおさかな」「味噌汁」「ご飯」に、3種類のおかずが加わる。ロリマー京都の裏テーマは「シーフード」と視たので、「今日のおさかな」が主人公といえる。スペシャルメニューは3種の刺身盛り合わせだった(これをオーダーしなかったことを後で悔やんだ)。
たのしいプレゼンテーション。
お皿には種類がある。(友人が頼んだ一汁三菜)
この皿を見たら最後、自宅の食器をすべて黄色で揃えよう! なんて勘違いさせられそうになる工芸品に、美しい食べ物が展示されてる。Dainty-こぶり-だけど、放ってるオーラは強い(凝を怠るなよ、と俺のクロロが囁く)。もしなにか怠ったとしても、店員さんが3種類のおかずについて簡潔に説明してくれるので心配ない。
3種類のおかずその1、卵と牛乳の厚焼き。
その2、ディルとユズのピクルス。
その3、ブロッコリーとラズベリーの白和えwith食用花(エディブルフラワー)。
「今日のおさかな」は鯛で、ミディアムレアで焼かれてた。焼き料理にありがちな「火の暴力感」がなくて、情緒的なシーフードだった。「美味しい状態にもっていくために”調整”しました、手段は”加熱” を用いております」みたいな、ポエティックな感じ。ロリマー京都の「今日のおさかな」、熱くないが故にアツい。
鯛は塩漬けされていた。魚は京都市中央市場で仕入れているそうだ。
「卵と牛乳の厚焼き」は茶碗蒸しとカスタードプリンのハーフのようなやつだった。瓶詰めにして売ってくれないかしら? とヤボながら思った。味噌汁には、ナス、水菜、「おあげさんサイズの炙った厚揚げ」が含まれている。ピクルスは、ユズ、ディル、野菜、酢、が均等に1/4で調和していた。おいしいにもほどがあるぜ。
卵と牛乳の厚焼きのテクスチャ。
味噌汁。茶碗が魚のウロコのようなデザインでかわいい。
鯛の焼きおにぎり
500円。
すごく食べ心地がよかった。やさしいというか、ほぐされた鯛の味が均等にふんだんに米に絡まっていて、ずっと口に含んでいたくなる。塩味がほしければ昆布、という感じ。昆布はうまみの爆弾だった。あぶねー(こいつらが夜食だったとしたら危険すぎるもの)。
ロリマー京都の住所:京都市下京区橋詰町143
出演-おしながき-
ロリマー京都/Lorimer Kyoto
一汁三菜/1500円
鯛の焼きおにぎり/500円
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