「世界ごはんたべ記」のせつめい
「世界ごはんたべ記」はライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか、などを自由に書いています。
海外での生活が長いので、異国のお店はよく登場すると思います。でも「世界」と名乗っている手前、母国のお店もたくさん発表していきたいです(か?)。
*
前回の記事「#66 京都の焼肉屋/三樹」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら。
百歳牛肉麺とは
百歳牛肉麺の外観。
「百歳牛肉麺」は京都にあるラーメン屋だけども、「ふつうの日本のラーメン屋」ではない。中国の「蘭州牛肉麺」というラーメンを取り扱っている。これは「蘭州ラーメン」とも呼ばれている料理だ。蘭州ラーメンとは、中国の甘粛省の蘭州が発祥の「清真料理」のひとつと言われている。清真料理は英語で「Chinese Islamic Cuisine」と分類され、直訳すると「中国のイスラム料理」となる。
百歳牛肉麺の蘭州牛肉麺。
つまり蘭州ラーメンは、中国で暮らすイスラム教徒の料理ということになる。イスラム教徒が食べられる「ハラール料理」なので、豚肉を使わないのも特徴のひとつ。中国のイスラム料理・清真料理は、おもに「回族」という人々が食べているとされるが、稀に(隣の)モンゴルの料理も含まれるらしい。京都の「百歳牛肉麺」は、そういった文脈を引き継ぐ「蘭州ラーメン」を、ラーメン屋みたいな感じで出している。
百歳牛肉麺のカウンターの箸置き。
百歳牛肉麺の雰囲気
百歳牛肉麺の外観。
「自家製麺」とある。
百歳牛肉麺は、京都のダウンタウンのどまんなかにある「三条名店街」にある。ラーメン屋のような佇まいではあるが、異国情緒が漏れてしまっている。私はというと、ひと目で惚れてしまった。「怪しい奴…! 台湾料理とかかな…でもなさそうだな、はて」という感じ。目の前には牛角とかジャンカラとか海鮮丼屋さんなどあるので、存在感に余計コントラストを感じた。
三条名店街の雰囲気。
お店に入ると鼻からトリップした。中国の空港で飛行機を乗り換えたときの匂い、ドイツの中華料理屋の匂い、アメリカのアジアンスーパーの匂い、京都の中華料理屋ではなかなか匂げない、八角のあの香りがした。これはもう中国だと直感した(中国には行ったことがないけれど、日本以外で中国を説明するときの香りと同質だった)。異国情緒があるか無いかだと、(言語以外は)日本が無いという感じだった。
アメリカのアジアンスーパー「金門超市/Kam Man Market」にて。
百歳牛肉麺のメニュー
ラーメンメニュー。
「蘭州牛肉麺」の説明。
一品メニュー。
メインはやはり麺料理で、3種類。「台湾風牛肉麺」「旨辛混ぜ麺」「蘭州牛肉麺」というラインナップ。「蘭州牛肉麺」が推しアイテムということらしかった。メニューに蘭州牛肉麺の写真付き説明があり、何を食べているか自覚できて楽しく感じる。麺は「平うち麺」と「細麺」が選べるが、写真と同じ細麺にした。
850円。
自家製麺。
牛肉のスープ、パクチー、八角、が印象的なフレーバーだ。「日本のじゃない中華料理を食べている」という感じがした。ベトナムの麺料理の「フォー」にも似ているけれど、麺はライスヌードルではないので、そこは日本のラーメンの麺に近いとも感じる(とはいえ日本のラーメンとは全く違う食べ物だったけれど)。
ラムの餃子も美味しい。450円。
肉肉しくて甘みを感じた。王将の餃子とはまったく違う風味だ。
ラムスパイス焼き
650円。
百歳牛肉麺は、一品にもしぶい食べ物が揃っている。なかでも「ラムスパイス焼き」に裏名物みたいな気配を感じたので、食べてしまった。英語では「Lamb Chops with Cumin/ラムチョップwithクミン」と説明があり、潔い説明だと感じる。「中東料理」とか言われれば、すんなり信じてしまいそうだ。むかし住んでいたイスラエルでもあり得た味。これとピタパンでケバブサンドとか作られたら、悶絶するかもだ。
10本は食べられると思う(ほんとに)。
カップラーメンやあらへん
カウンターに貼ってあった、自家製ラー油の広告。今となっては欲しい。
入店直後、何を食べようか迷いながらメニューを眺めていたら、隣のおっちゃんが「蘭州牛肉麺」を注文した。しかし5分くらいたった頃、おっちゃんは「まだできひんの?」と言い、去っていった。カップラーメンの感覚で来てたのかもしれない。もったいない。スティービーワンダーとかトニーベネットとか八角の香りが流れる店内で、湯船に浸かる気分で、そのようなことを横目で見ていた。
百歳牛肉麺の住所:京都市中京区石橋町14-14
出演-おしながき-
百歳牛肉麺
蘭州牛肉麺/850円
羊肉餃子/450円
ラムスパイス焼き/650円
百歳牛肉麺のHP