テルアビブの治安について在住者が説明

イスラエルのテルアビブに住んでいます、がぅちゃんです。

テルアビブで家族団欒するイスラエル人

1年半以上テルアビブに住んでいますが、テルアビブの治安については本当によく聞かれます。しかしまぁ特別な危険というのが見つからない…。(犯罪が起こらないわけではないのですが)

今回はそんな「テルアビブの治安」についてまるっと簡単に解説しています。

テルアビブの記事一覧はこちら。

余談:ガザから飛んでくるロケット弾について

イスラエルが危ない国と思われている大きな理由の一つがこれだと思うので、本題に入る前にすこし解説します。

上の地図をズームアウトしていただくとわかりやすいのですが、イスラエルは地中海沿いにある縦に長い国です(面積は四国ほど)。その左下の隅にガザという場所があります。パレスチナ系のテロリストがイスラエルに向かってロケット弾を撃ったりしています。

防衛システムのおかげでダメージを軽減できるものの、ガザ周辺のイスラエル南部の町はたびたび被害にあっています。しかしながら、ガザから70km北にあるテルアビブでは、隣の国の出来事といってもいいほど被害がありません。

日本の地理で例えるなら、神戸が西宮市によくロケット弾を撃って家を何軒か潰すけれど、大阪には来ないという感じです。(来るときもありますが、かなり稀です。)

テルアビブで空襲警報がなった時の体験談

たった数十キロの間にある世界観のコントラストが強すぎる環境。良くも悪くもこれがイスラエルです。

ロケット弾についての誤解

「ロケット弾=核ミサイル」のような、えげつないイメージを持っている方もいますが、そうではありません。

ロケット弾には、ターゲットを追跡して爆発するミサイルとは違い、追跡機能がありません。要するに大きなロケット花火のようなものです。種類は色々ありますが、ガザのロケット弾の攻撃力は一軒家のワンフロアがめちゃくちゃになる程度です。(それでも十分怖いですが)

あとそもそも、ロケット弾はイスラエルの外からの脅威(テロ)なので、国内の治安とは性質が違います。

イスラエルには防衛システムがある

イスラエル国内には、アイアンドームという迎撃ミサイルが設置されており、ロケット弾はあるていど迎撃されます。

それに加え、イスラエルの家には必ず防空壕としてのセーフルームが設置されています。言い方を変えれば、セーフルームの中に入れば安全は確保されると言えます。

日本で地震が起これば家どころか町が潰れますから、被害の規模だけで考えればある意味ロケット弾より怖いです。あと、地震はロケット弾と違って防げませんからね…。

関連記事:イスラエルにロケット弾が飛んできて避難したときの話

テルアビブの治安について

それでは本題へ。今度は国内のテルアビブの治安の説明をします。要点を6つにまとめて簡単に説明しています。

1. そもそも雰囲気はヨーロッパの都市

テルアビブの中心部にある『キングジョージ通り』の様子

テルアビブを訪れた日本人観光客がよく抱く感想が「都会」「安全」「綺麗」。ポジティブですね。日本のニュースで見聞きするイスラエルと、いかに現状がかけ離れているかが伺える現象です。

要するにテルアビブは普通の都会なのです。そしてほぼ完全にヨーロッパスタンダード。欧米からの直行便も多いので、欧米人観光客が圧倒的に多いです。

2. はっきり言ってゆるい

飲食店などで自分の貴重品をほったらかしにするのは日本人くらい…などという話を聞きますが、 イスラエル人はそれに輪をかけてひどい(めっちゃ褒めています)。

携帯電話、カバン、ベビーカー、車、自転車etc、公共の場でモノをその辺に置いたりしている人は結構います。治安が悪い地域ではみられない現象だと思います。

歩道に駐車するのもテルアビブスタイル

電動スクーターのシェアサービスも発達していて、道端に乗り捨てられています。 こういった状況を見る限り、テルアビブは「公共の場で盗みが発生するのが当然」というタイプの町ではなさそうです。

電動スクーターのシェア。道端に乗り捨てられている。

3. 夜も安全

夜の繁華街の様子(ディゼンゴフモール周辺)

女性や子供が夜に一人で出歩いたとしても特に問題はありませんし、都会で常識的なことに気をつけていれば特別警戒すべきことはないと思います。個人的には、東京の歌舞伎町や大阪のなんばの方がよっぽど怖いです。(極端な例かもしれませんが)

ベビーカーを押す女性(アレンビー通り)

あと、24時間営業のコンビニもそこら中にあるので、夜中に出歩くこと自体が不自然ではない風潮があります。

コンビニチェーンの「am.pm」。そこら中にある。

テルアビブはヨーロッパスタンダードと書きましたが、治安に関しては、ヨーロッパの人気観光地よりはるかに落ち着いています。

4. 入国審査が厳しいと言うより、安全管理が厳重

ベングリオン国際空港。チェックイン前のチェックインブース。

よくイスラエルの入国審査は「世界一厳しい」などと言われ、それが「世界一危険」として、ズレた解釈がされているように思います。

地政学的に外からのテロの脅威が高いから対策しているのであって、「入国審査が厳しい=国内が危険」とは違うという感じです。

テルアビブのゆるさは入国管理の厳重さの賜物だと思うので、むしろ厳しいおかげで治安は保てていると感じます。

あと、私は外国人として何回も出入国を繰り返しましたが、入国審査は厳しいと言うよりマニュアルを徹底しているというほうがしっくりきます。

5.犯罪発生件数は日本より低い

そもそもイスラエルの犯罪発生件数は日本の約三分の一なので(2017年)、総数だけで考えると日本より3倍安全ということが言えます。しかし人口は900万人以下(東京以下)なので、頻度は高いです。

テルアビブはイスラエル最大の経済都市で人口は国内第2位ですが、その数はたった40万人以下です。日本で最も人口が少ない都道府県の鳥取県より少ない数です。犯罪総数が人口に比例して少ないということが言えます。

6. 幸福度ランキングは日本よりはるか上

2019年の世界幸福度ランキングでは、イスラエルは13位にランクインしています(日本は58位)。良くも悪くも政治的に注目を集めている国なだけあって、市民の社会や政治に対する課題意識も高いです。

LGBTの分野では特に有名で、テルアビブは世界有数のゲイフレンドリータウンとしても知られています。LGBTの権利向上イベントであるテルアビブレインボープライドの参加者は25万人にもなります。

テルアビブの海岸通りを埋め尽くすパレード参加者

賞賛のボリュームに伴い批判もされるイスラエルですが、ピンクウォッシュなどといった、イスラエル独特のLGBT事情も存在します。

テルアビブの治安を心配している人へ

観光中、必ず通るであろう「アレンビー通り」

おそらくテルアビブで治安を心配している人というのはこれから旅行する人だと思うのですが、日本でも心がけているような当たり前の警戒心を持てば、それ以上特別な何かは必要ないと思います。

ユダヤ教徒の方も多いですがほとんど世俗的で、気をつけなければならないルール(イランでは親指を立てたら怒られる…みたいなやつ)も特にありません。(探せばあるでしょうが)

テルアビブは先進国の都会なので、外国人が粗相をしても「知らなかったらしかたない」という理解がある環境だと思います。

アジア人だから、女性だから、子供だから、などという理由で攻撃されることは普通ないと考えるのが一般的なスタンスです。仮にもし起こったとして、加害者は当たり前に警察に捕まります。

あと英語も通じます。

危ないところは無くはない

誤解を与えたくないので正直に書きますが、凶悪犯罪、マフィア、怪しい通り、そういったものも存在します。テルアビブは犯罪の無いパラダイスではないということです。

しかし、観光客が普通に出歩くような場所で、当然のようにそれらの存在があらわになるような町では無いです。探さないとたどり着かないタイプの危険だと思うので、特別気をつけなくてもいいと思います。

雰囲気が変わる地域

雰囲気で分けると、中央駅周辺や、ヤッファあたりから南にかけて下町っぽさが増す感じです。しかし普通はヤッファより北のビーチ周辺に滞在すると思うので、あまり心配はないと思います。(南だとしても大丈夫だと思いますが)

ヤッファ周辺のとある通り

というかむしろ、ヤッファ周辺の「フロレンティン/Florentin」という地域は、そのやさぐれた雰囲気で人気スポットとなっています。地元の人が夜遊びするならここという感じで、危険地域とは呼びにくいのが現状です。

フロレンティンによくある、味のあるバー。近くには人気ゲイバーもある。

イスラエルについて冷静に考えたら、ロケット弾が飛んできても世界で13番目に幸せな国として経済発展ができているので、かなり優秀だと思います。そんな国の中でも整備された経済都市のテルアビブなので、治安についてむやみに心配する必要はないと思います。

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