海外キマグレごはん#番外編 美味い店を見抜くための4項目

海外キマグレごはん「番外編」の企画説明-おしながき-

毎度毎度、私が海外で食べた「ごはん」を一品ピックアップして紹介している「海外キマグレごはん」。しかし十回に一回は、いつもと違うパターンのことを書きます。だから「番外編」です。あくまでも「ごはん」に関するハナシですが、何を書くかは、やはりそのときの気まぐれで決めています。



前回の記事「#9 イスラエルのフィッシュアンドチップス」はこちら。「海外キマグレごはん」のマガジンはこちら

私はごはんが大好きですが、料理に関して素人です。素人なので、外食する時は必死だし、失敗したくないです。そんな私が、レストランに行く前後にチェックする項目が4つあります。それらは「料理」「メニュー」「インテリア」「店員」です。それぞれから、以下の要素を感じ取ります。

・料理:技術
・メニュー:コンセプト
・インテリア:思想
・店員:実態

この記事では、それぞれ4つの項目で、私が具体的に何をどう視ているかを説明していきます。ちなみに、「店員」以外はインターネットで確認できます。つまり、美味いお店かどうかを事前に見抜くためには、3項目だけ視ればよいと言えます。

※記事内の説明のほとんどが主観的で抽象的なので、賛成・反対・想像しながら読みすすめていただければと思います。なお、この記事の内容は、あくまでも海外のレストランのケースです。

目次

項目1:料理(=技術)
項目2:メニュー(=コンセプト)
項目3:インテリア(=思想)
項目4:店員(=実態)
総括

項目1:料理(=技術)

「料理」を見ると「技術」が視えます。これはすごく単純なことで、「雑か丁寧か」「繊細か大胆か」のような次元を感じ取るだけです。「子供のお絵かき」と「プロのデッサン」を見比べて「やっぱりぜんぜん違う」くらいのハナシです。知識はいりません。ただし、あれば言語化できます。

調理技術で一番ごまかせないのが「切り方」だと思っています。「意識してサイジングしてる」とか「機械的に整えてただけ」とか、意図がそのまま現れます。切り方が雑な店は、だいたい厨房のマネージメントで問題が発生している気配があります。やる気がない、技術がない、忙しすぎる、など。

ファストフード店だろうがローカルの名店だろうが、人気店は切り方からすでに一貫性があります。ただし、「煮込み料理門店」のようなお店だと、切り方が確認できないので、判断するのは難しいです。しかし、美味いお店はだいたい、量とかにおいても、意図的で「適切」だと思います。

一般的なお店の「丁寧」なネギ。@Benedict/イスラエル

繁盛店の「大胆」なネギ。@Mexicana/イスラエル

しゃれたお店の「繊細」なネギ(チャイブ)。@Cafe 65/イスラエル

神経の行き届いた「意味」のあるネギ。@Machneyuda/イスラエル(詳細記事)

一応ここでは「切り方」をピックアップしましたが、「切り方が雑だったら不味い」という意味ではないです。美味いお店は「切り方」の時点でなんかすでに違うし、不味いお店は「切り方」の時点で残念なことが多い、程度のことです。

違和感を感じたお店の、サラダのパーツ。(写真は自分で並べた)

項目2:メニュー(=コンセプト)

「メニュー」は「お店のコンセプト」を端的に表した取扱説明書だと思います。読めば、「何屋さんなのか」「誰を相手にしているのか」「何で勝負しているのか」などが、あるていど予測できます。「頻出単語チェック」のつもりで料理内容をざっと確認すれば、お店の傾向が感じ取れる気がします。

例えば、メニューに日本料理だけなら「日本食レストランか」となりますし、現地料理だけなら「ローカルで勝負してるな」となります。パスタやピザも含むなら「折衷案で頑張っている」となり、写真付きで多言語で何ページもあるなら「観光客を相手にしているな」という具合です。

日本食レストランのメニュー。@Donburi/アメリカ

バランスがいいローカルレストランのメニュー。@Tishreen/イスラエル

観光客向けのローカル料理店のメニュー。@Yunus Balik/トルコ

メニューが冊子かプリントか、またはデザインに凝っているか、といった外見的要素からわかることは多いです。しかしそれは「インテリア」の領域です。なお、名店ほど「プリントに文字だけのメニュー」を採用する傾向があると感じます。(私はそれを「匠メニュー」と読んでいる)

イスラエル・テルアビブの名店「Claro;」の匠メニュー。

イスラエル・エルサレムの名店「Machneyuda」の匠メニュー。

同じくテルアビブの名店「Romano」の匠メニュー。

項目3:インテリア(=思想)

「インテリア」は、料理以外の「目に映る全て」です。外観、内装、食器、メニューのデザインetc、すべてが範疇です。極論ですが、料理を食べるだけなら不要なモノです。シェフが私の口に食べ物を投げてくれれば済む話ですが、そうはならないところに「思想=インテリア」が介在します。

こだわるも思想、こだわらないも思想、だと思います。掃除具合とかで神経や経営状態が窺えますし、物件や家具で覚悟や資金力も察知できます。「どんな空間で何をするのか」で視えてくものは多い気がします。お店のビジュアルデザインからは、演出の領域を感じることもできます。

名店になればなるほど、特別に意味がない限り、皿とかにこだわらない(気がします)。「白ならいい」とか、それくらいのシンプリシティ。もしくは徹底してこだわるか。二つに一つのような気がします。「料理」「メニュー」の項目と同様、名店はたいてい、やっていることが明快だと思います。

名店のシンプルなひと皿。@Uri Buri/イスラエル

名店の徹底したひと皿。@Claro;/イスラエル(詳細記事)

項目4:店員(=実態)

「店員」は、そこで働くすべての人間のことです。ウェイターのルックスや態度には経営者の思想が反映されたりするから、「インテリア」の要素も含んでいる気がします。店員の神経は、お店の神経を推し量る要素になり得ると思います。

真顔で急に踊りだす、ノリのいいウェイターたち。@Cafe Noir/イスラエル

美味いお店のウェイターからは、たいてい次の要素を感じます。「メニューを理解している」「自信と自覚がある」「フレンドリー」です。そうでなかったとしても、(忙しかったりで)テキパキしている印象です。また、愛想があろうが無かろうが、「質問には即答が常」な印象。

活気と秩序がある、イスラエル・エルサレムの名店「Machneyuda」。

総括

4つの項目をかなり自分勝手に説明しました。ついでに「美味いお店」の特徴を一言でまとめると、「遠く深く神経が行き届いている」になります。美味いお店を探すためには「神経を探せばいい」という感じです(なんだそれ)。あくまでも感覚ベースで、以下に評価基準を作りました。

B:体裁を整えた様子。(=普通)
A:隙を無くした様子。(=完璧)
A+:その先でなにかツッコこんでる。(=love)

お店に行く前にざっと視て、3項目でB以上なら大きなハズレはない印象です。例えばファストフード店の場合、資金力で「店員」以外の項目をBに徹底している印象なので、私の中では「普通の美味いお店」となっています。なお、京都のシェイクシャックは私の中でオールAなので、名店です。

私の場合、ひとつでも「A+/love」があれば問答無用で好きになれます。また、料理さえ「A」なら通えます。

ネット上の評価

例えばトリップアドバイザーの場合、最上位に「行きやすいお店」「目立つお店」がランクインしていたりします。これだと「知名度のランキング」なので、美味いかどうかは別な気がします。しかし「名実ともに」ということはあり得るので、参考にはします。匠クラスの名店は、上位3割の中でバラバラに位置する印象。なお、レビューは「最高」と「最低」を読んだ後、無視します。(レビューはエッセイだと思っています)

お店の事前評価は、この記事で説明していない要素にも影響されます。例えばそれは、ネット上で表示された「写真のクオリティ」だったり。だから私は騙されないように、「写真の先に、なにか視えた」と感じるまで、3項目の写真を眺め続けます。「諦めるべきでない事を諦めないこと」が大切だと思っています。なぜなら、頑張って視ると、より少ない金額で、より美味い食べ物にありつけるからです。

観光客向けのハンバーガー屋のセット。1,950円。イスラエル/テルアビブ

街で一番のハンバーガー屋のセット。1,740円。イスラエル/テルアビブ

どうせ同じ金額を払うなら、よりよい体験がしたい。食い意地が張っている素人の私は、正直なところ、得したいのです。今回の記事で長々と説明した「4項目で見抜く」は、それが本当の目的でした。(最初に言っておけ、ってハナシですが)

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