京都でパレスチナ料理をたべた

京都新聞で気になる記事をみつけた。タイトルは「京都市上京区に「泣けるんだよ…」激賞のパレスチナ料理店誕生 巧みなスパイス、風土にじむ直伝の味わい」。がぅちゃんは思った、「泣けるんだよ…」ってどういう意味だろう、うれしいのかな、かなしいのかな。色々と想像した。でもがぅちゃんは京都人なので京都の天気予報のほうが気になってしまい、けっきょく記事は読めずじまいだ。

パレスチナではパレスチナ料理のことをどう呼ぶのかわからないけれど、京都ではパレスチナ料理のことを「中東料理」とか「地中海料理」とか「レバント料理」とか「アラブ料理」とか「ハラール」とか、うっかり「イスラエル料理」とか呼ぶのかもしれない。そのとき、「ふざけないでね、そうじゃなくて、これはパレスチナ料理だよ」と言うのは、パレスチナを旅行してた時にジャッキー・チェンと呼ばれたがぅちゃんが「ジャッキー・チェンじゃないよ」と言ったときの気持ちに似てるのかもしれない。泣けるんだよ…

パレスチナ料理店の名前は「ビサン」といって、場所は「出町(でまち)ふたば」の隣にある。つまり「出町桝形商店街(でまちやなぎますがたしょうてんがい)」の入口にある。がぅちゃんは京都人なので、これだけでほえーとなった。「おしゃれな海外風カフェとかが上陸していそうだな」と感じていた場所にみごと上陸していて、デンゼル・ワシントンの飛行機の映画を思い出した。泣けるんだよ…

ビサンに入店するや否や、女性の店員さんが「ありがとうございました、シュクラーン!」と言った。帰れと言われているのかな? と勘違いする間もなく、それは退出するお客さんに向けた愛の言葉とわかって安心した。この心づかい、まぎれもなく日本のレストランだ。パレスチナみたいに、おやじが「ハビビ」と怒鳴らない。「ハビビとはアラビア語で「最愛の人」という意味だよ」とパレスチナ人のお友達が教えてくれた。なにかにつけて語尾につけて言うらしい。がぅちゃんも言われた気がする。「おなかへってるんちゃうか、ハビビ」「おまけしといたよ、ハビビ」「またきてな、太ったジャッキー・チェン」。パレスチナではそんな感じだけど、京都では「ありがとうございました、シュクラーン!」なのだ。泣けるんだよ…

はらぺこのがぅちゃんは、メニューにて「Special Menu」とフィーチャーされていた2500円の「Bisanプレート」を注文した。Bisanプレートは、名物料理の盛り合わせのような状態になっているプレートで、ピタパン(中東のパン)、フムス(ひよこ豆のペースト)、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)、トマトのペースト、にんじんサラダ、レンズ豆のスープが含まれる。もりだくさんのBisanプレートをうけとる際、店員さんが丁寧に食べ方を教えてくれた。パレスチナではそんな優しいこと絶対にしてくれない。そんなことより、Bisanプレートはとにかく美しいプレートだ。おせち料理みたいに隙のない盛り付けで、めでたい。「たった2500円でこんなにハイクオリティな食べ物が食べられるなんて〜」とアメリカ在住の友達が羨ましがりそうな佇まい。物価の高いアメリカなら100万円くらいするそうだ。泣けるんだよ…

余談になるけれど、ビサンという店名は、オーナーシェフがパレスチナのビサン出身であることに由来すると聞いた。ただ、がぅちゃんが見た地図によると、ビサンはパレスチナの外にあった。あくまでもがぅちゃんが見た地図によると、ビサンはイスラエルの中にあった。だからどうしたという話である。滋賀県の大津出身の人が「京料理屋Otsu」というお店を出したっていいじゃないか。「京都では」とか「パレスチナでは」とか、どうでもいい! はずないんだろうけれど、もうええでしょう。