タヌキと宮本武蔵で有名な「狸谷山不動院/たぬきだにさんふどういん」のライトアップを見に行った。京都市左京区の名所だ。叡山電車(えいざんでんしゃ)に乗り、一乗寺(いちじょうじ)を歩き、小6気分でゆく。
狸谷山不動院
狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)の、タヌキ。
「狸谷山不動院/たぬきだにさんふどういん」は、ラーメン激戦区の京都の中でもラーメン激戦区の、一乗寺エリアにあるお寺。(天下一品の本店もこの辺だ)
狸谷山不動院は、名前のとおり、タヌキ(のディスプレイ)が有名。宮本武蔵が修行した地域だそうで、ゆかりの地として紹介されることもある。
狸谷山不動院への道中にて。
狸谷山不動院のHPには「厄よけ・ガン封じ・交通安全・自動車祈祷の総本山」とあり、ご利益の適用範囲は広い。
…というのを、2022年3月に知った。
ライトアップにお熱だった3月の私が「あの狸谷山不動院がライトアップ!」という情報をキャッチし、行かねばと開悟(さと)ったのだ。
結論から言うと、これがその景色。(通称:あの場所)
シャトルバス
「家→駅→狸谷山不動院」というルートで行った。駅から狸谷山不動院まで無料のシャトルバスが出てると知り、徒歩への懸念からきた迷いが消える。
シャトルバスが出る「出町柳/でまちやなぎ」はかなり有名で(東京でいう上野のような感じ)、そこまでは、家からバス一本で行ける。
つまり実質、狸谷山不動院は、家と直通だ。これからジムに行ってネットフリックスする自分をドタキャンし、出町柳へ向かうバスに乗り込んだ。
出町柳に向かう、京都市バス。
出町柳には京都を代表する「京阪電車/けいはんでんしゃ」があって、私もよく使う(というかそれを使うためにいつも出町柳に来る)。
でも今回のシャトルバスは、「叡山電車/えいざんでんしゃ」のほうから発車する。この時点で、左京区の世界観が強い(ちょっと異国な感じがした)。
叡山電車の出町柳駅に向かってバス停から歩いていると、京都大学のテリトリーに侵入したことを視覚が捉えた。アニメ「四畳半神話大系」の世界がそこにある。
かの有名な「賀茂大橋/かもおおはし」を渡って、出町柳駅に向かう。
出町柳駅に近づいてゆく…
カニエ・ウェストのお母さんみたいなことを言うお寺もあった。
叡山電車・出町柳駅
叡山電車・出町柳駅(えいざんでんしゃ・でまちやなぎえき)。
出町柳駅の前に、シャトルバスを案内する青年達がいた。聞くとどうやら、次の便まで30分ほど待つらしい。これは迷う。
迷う私に、「坂きついですよ、、大丈夫ですか?」と、彼らは優しい。でも30分あれば電車+徒歩で行けそうなので、穏-ブライス-にシャトルバスを振った。
その時、「シャトルバスだから来た」という自分にさよならできて、新しい自分と出会う。結局のところ人は、似たような時間で似たような場所に、たどり着く。
開きたてガラガラの電車に乗り込む。
この時たまたま、ガッツリ通勤の時間帯だったらしい。すぐに電車は満員になった。乗客の多くは「帰路に着く」といったムード。
私はというと、シャトルバスと別れられたこともあって、勢いづいており、呑気に電車にノっていた。
浮かれた私がふわふわと向かう場所に、毎日毎日毎日、帰還する人がいる。パラレルワールドに畏怖の念を抱き、ざわざわした。
一乗寺エリア
降りたてホヤホヤの景色。
5分で「一乗寺駅」に到着した。3駅。電車の待ち時間のほうが長かった気がする。(動かない電車にぞくぞくとサラリーマンの人たちが乗り込んできて緊張した)
一乗寺駅からタクシーに乗ってやろうかとも思ったけれど、ここは大人しくグーグルと足を頼ることにした。
「シャトルバスにだけは追い抜かれたくない」と歪んだ気持ちで、早歩き。坂道はそこまでキツくなく、青年たちの易しさを噛み締め、進む。
「狸谷山不動院↑」とある。
じわじわ傾斜がついてくる。
道中の看板。ちょっと疲れてきたかも。
漫画「バガボンド」の26巻で、宮本武蔵が祈った場所らしい。通過。
振り返ると、そこそこ坂。
周囲の暗さと自分のテンションで気づかなかったけれど、じわじわ山道となっていた。というか、道路以外、ほぼ山だった。
開悟(さと)りの看板で、「ジムの服で来たらよかった」と後悔が加速したものの、それ以外は何事もなく、狸谷山不動院に到着。やっと始まった。
車の利用を前提としたメッセージが、多言語で訴えられている。
タヌキ倶楽部
狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)には、着いたらしい。でも入場しているのかどうか不明だった。京都の世界遺産とか人生で、私に起こりがちな出来事だ。
でも迷いには慣れっこなので、「入口まで移動するタイプだな」と察する。バス停らしきスペースの横で、難なくチケットを購入した。
チケット売り場。ここからは入れない。
私の中で「狸谷山不動院」とは、「ツイッターに流れてきたあの場所」を意味した。「あの場所」を目指し(というかまずそこに向かうための入口を目指し)、ゆく。
「きらめくあの場所を目指す山道」という意味では(どんな状況だ)、クロアチアの人口100人の漁村のバーに行ったときと同じだった。
狸谷山不動院の、入口にむかう道中。
クロアチアの夜道。
クロアチアの人口100人の漁村のバー(に50人位で行った)。
タヌキのようなとっつぁん達と。
で、これが、狸谷山不動院。
まるでタヌキのクラブだ。EDMが聞こえても驚かない。
泥酔した人のセルフィー、みたいになった。
タヌキに歓迎され、ジブリ映画の「平成狸合戦ぽんぽこ」を想ったが、ここは多摩ニュータウンでもクロアチアでもない。京都の狸谷山不動院へ、いざログイン。
スリーコインズの光
スリーコインズのライト(恐らく)。
狸谷山不動院のライトアップでは、スリーコインズ※のライト(仮)が、大量に採用されていた。でも私の部屋っぽくなく、格の違いを感じた。
※「スリーコインズ/3COINS」は、関西発祥の有名な雑貨屋。「300円均一の雑貨店」だが、入店してコイン3枚ですんだ試しがない。恐ろしいお店である。
我が家のスリーコインズのライト。
狸谷山不動院だとこうなる。つよい。
ありがたい像を、ムーンライトが護衛している。
セーラームーン以来かもしれない(なにがだ)。
道中でタヌキが応援してくれる。(階段が250段ある)
普段スリーコインズを避けている私は、ひるんだ。
見上げると、あの場所が見える。
スリーコインズの「LEDコットンボールライト(仮)」や「LEDムーンタッチライト(仮)」などで、250段の階段がくまなくライトアップされていた。
大作を目の当たりにし、「スリーコインズは3枚で済まない」という持論が支持された気分。ネットフリックスの「クィア・アイ」くらい、自己肯定感がアガった。
あの場所はというと、光る風船が浮いていて幻想的だった。「かわいい」という声を何度か聞いた。あの漁村のようにクラブっぽくなく、お寺の凄さを感じる。
あの場所の景色。
ちょっと高いところから、風船越しに本堂を眺める。
本堂から見た景色。
本堂の様子。
便所
本堂の前にいたタヌキ。
本堂のお参りがてら、トイレに行った。係員の人に「トイレどこですか」と聞くと、「暗いので着いてきてください」と言われた。
つべこべいわず、大真面目に着いて行く。本堂の裏の…事務所の裏の…廃墟の裏の…といった具合で、ライトを持った係員さんがぐんぐん進んでいく。
トイレへの道中。
係員さんがおもむろに立ち止まって、スイッチをつけるや否や、俄然トイレがライトアップされた。「はいッ、これが便所です!」など言われたら、大納得な雰囲気。
手前の部屋をすすめられた。
「ドープ/dope」と呼ぶにふさわしい、便所中の便所。
私が12歳とかなら、恐怖に翻訳されたかもしれない。
好意的な日本語を見つけ、安心する。
どうやら英語も通じるようだ。
冷静に見ると、主張は一貫している。
用を足した後も、このライトアップを見逃すまいと、必死に便所を鑑賞した。大と言っていいくらいの時間を費やした私が、大満足でトイレから出る。
外ではなんと、係員さんが、光を絶やさず待っていてくれた。これがほんとの、はばかりさん。。申し訳ない気持ちになったが、我に返って感謝の意を伝える。
トイレの帰り道から、京都の街も見えた。狸谷山不動院の特別拝観に負けじとライトアップされている。もしや生活、毎日がスペシャルなのでは。
“Somehow the town seemed different.” (い訳:なんだか街は違って見えた)
P.S. リベンジ
帰りのシャトルバス。
あのメッセージに、めでたく見送られて。
帰りは運良く、シャトルバスに乗れた。下りだからか、御所(ごしょ)界隈の自転車なみの速さ。一瞬で出町柳に着き、今度は家に帰るため、京都市バスに乗りこんだ。
あの場所に行くためならどんな道も通るぜ。イェ!
狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)のライトアップ:2022年は3/16〜3/20の開催。狸谷山不動院のHPはこちら。
狸谷山不動院の住所:京都市左京区一乗寺松原町6