「世界ごはんたべ記」の講釈
「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんの外食の記録です。どこのお店でなにを食べたかを報告しています。「世界」と名乗っている手前、異国のお店も母国のお店も登場します。
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前回のエピソード「#81 東京のどじょう料理屋/駒形どぜう・浅草本店」はこちらです。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちらです。
東京の月島
月島のもんじゃストリート。
「もんじゃ・蔵」は、東京の「月島/つきしま」という地域にある。月島はもんじゃ焼きで有名で、「もんじゃストリート」と命名された通りまである。もんじゃストリートは「月島西仲通り商店街」を指し、この商店街には約70軒も、もんじゃ焼きを取り扱う飲食店がある(「お好み焼き屋」とか「もんじゃ焼き屋」とか様々あるが、料理はもんじゃ焼きがメインといった様子)。
もんじゃ・蔵とは
「もんじゃ・蔵」の外観。
「もんじゃ焼きといえば月島」となっているなかで、特に有名なのが「もんじゃ・蔵」のようだった。ふつうの東京の(つまりリアルな)もんじゃ焼きが味わえることで知られている。えらいもんで、もんじゃ・蔵は、「飽きのこない普通のおいしさが幅広い客層にうけてます!!」とホームページで謳っている。これが嘘でないことは後にわかる。
もんじゃ・蔵の雰囲気
店内の様子。
「もんじゃ焼きは東京の郷土料理」と、私はたいそうに捉えていた。でも、もんじゃ・蔵は、そうではなさそうだった。というか、そうではないだろうなとは薄々感じていた自分の予感を確信に変えるには十分な世界がそこにあった。
もんじゃ・蔵は、いたってふつうのお好み焼き屋さんだ。モー娘とかビーズとか、宇多田ヒカルの「Wait & See 〜リスク〜」とかが流れている。平成の人間にとってはふつうどころかエモい。なぞの安心感があった。
もんじゃ・蔵のメニュー
メニュー。
メニューには「鉄板焼き」「もんじゃ」「お好み焼き」とあった。もんじゃがあること以外は、地元(京都)のお好み焼き屋さんと何も変わらない。お好み焼き屋でもあるし、鉄板焼き屋でもある(いちおう、もんじゃ・蔵の暖簾には「もんじゃ 蔵 もんじゃ」とある)。
もんじゃ焼きのメニューにはおすすめアイテムがいくつかあり、もんじゃ焼きを食べたくて来店した人(=私とか)が迷わないようなメニューだった。もんじゃ焼きの焼き方の説明も、イラストつきであった。
おすすめアイテム。
「もんじゃの焼き方」とある。
私はもんじゃ焼きを食べたことも作ったこともなかったので、他人のキッチンで知らない料理を作らなければいけないという複雑なプレッシャーを感じていた。失敗したくないし帰ろうかな、とさえ思った。
でもまずは指示通り油をぬって待機。
プチ蔵スペシャルもんじゃ
この状態でテーブルに届く。
「プチ蔵スペシャルもんじゃ」は、「蔵スペシャルもんじゃ」の小さいバージョンだ。小さいといっても少量ではなく、元々1.5人前だった蔵スペシャルもんじゃが1人前の量でやってきたにすぎない。リードしていた部分をスタートラインに戻したようなものだ。
具材が豊富で、「カニ」「ホタテ」「アサリ」「イカ」「エビ」「タコ」「明太子」「コーン」「餅」「中華そば」が含まれる。シーフードのウマミ爆弾だ。冷凍のシーフードミックスでは相手にならない。この具材ならパスタを作っても美味しいだろう。
鉄板にもんじゃを塗りつけていく…
もんじゃ焼き作り素人の私がさっきのイラストを見ながらヘラを片手にダラダラこしらえていると、店員さんが修正しにきた。ヘラをふたつも使い、プロ丸出しの手際でザックザクに制作して、食べるタイミングもスマートに教授して帰って行った。
指導された気分でちょっと照れる。正直いうと、もんじゃ焼きの完成(ゴール)がわからなくて、いつ食べ始めていいのかわからなかった。
店員さんがこしらえた「土手」の中央に、ダシを注いで待つ。
ほぼ完成している(はず)。
生せんべい
もんじゃ焼きは、お好み焼きとは全く違う食べ物だった。おかゆっぽいけどそうでもない。時間とともに食感が変化するのがおもしろい。表面に軽く焦げ目がつくくらいのやつが一番美味しいと感じた。もんじゃ焼きは「生せんべい」とか言っていいのかもしれない。焼く過程から食べていける、シーフードのウマミ爆弾の。
生せんべい(自称)。
もんじゃ焼きは、生地を生で食べてる背徳感のような美味しさがあって、スイーツの「生〇〇」とかを彷彿とさせた。私はホットケーキとかの生地を飲みたいと思ってしまうタイプなのだけど、そういうことを考えている人にとってはたまらない料理だと思った。
調味料で味変したりするのも楽しかった。
今回のおしながき
深川宿・本店
プチ蔵スペシャルもんじゃ/1450円
もんじゃ・蔵のHP
もんじゃ・蔵の住所:東京都中央区月島3丁目9−9