京都の太秦(うずまさ)にあるスロベニア料理店「ピカポロンツァ/PIKAPOLONCA」を紹介します。「地中海リゾット」や「そば粉のズリヴァンカ」など食べます。「スロベニア」「スロベニア料理」についても説明。
スロベニアについて
スロベニアの国旗。Image:CC0
スロベニアは中央ヨーロッパにあり、イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアと国境を接している。日本の淡路島をイタリアと例えるならば、神戸市がスロベニア、大阪市がクロアチア、といった状態だ。
濃い緑がスロベニア。Image:NuclearVacuum
イケイケでド派手なことが自慢な国ではなく、日本語表現としての「ジブリっぽい」が当てはまりそうな雰囲気がある。「ジブリっぽい」=「屋久島っぽい/台湾っぽい/東欧っぽい」と私は思っている(でもスロベニアは東欧じゃない)。
スロベニアの人口は約200万人で、京都市+宇治市+亀岡市+長岡京市+舞鶴市、といった規模。なかなかだ。首都は「リュブリャナ/Ljubljana」で、世界最古の木製車輪「Ljubljana Marshes Wheel」などで有名だ。
リュブリャナの雰囲気。
スロベニア料理について
スロベニア料理の例。Image:CC0
概念としては、ハム、チーズ、パスタ、パンなどを「めし」とするタイプの料理だと思う。日本でいう「魚・米・味噌汁」、イスラエルでいう「フムス・ファラフェル・ピタパン」とは、また違う世界線な気配。
「スロベニア料理は22種類ある」と言い切れなくもない。EUのルール(Geographical indications and traditional specialities in the European Union)で、22件が保護されているそうだ。(スロベニア料理は22種類以上ある。念の為)
スロベニア料理でまず名前が挙がる3品を選ぶなら、「イドリイスキ・ジュリクロフィ/Idrija žlikrofi」「クランスカ・クロバサ/kranjska klobasa」「アイドヴィ・ジュガンツィ/Ajdovi žganci」となるだろうか。
これらをい訳するなら、イドリイスキ・ジュリクロフィは「ポテトの餃子」、クランスカ・クロバサは「豚肉多めのソーセージ」、アイドヴィ・ジュガンツィは「蕎麦のお粥」、となりそう。
京都・の太秦のスロベニア料理店「ピカポロンツァ」
ピカポロンツァの看板。
「ピカポロンツァ/PIKAPOLONCA」は、映画のメッカ「東映太秦映画村」で有名な太秦(うずまさ)にある。太秦は京都市の「右京区」にあるのだが、他の区と比べて、閑靜に強いイメージがある(細木数子の豪邸とかがある)。
スロベニア料理店は日本に一軒しかないらしいので、ピカポロンツァは文字通り、唯一無二だ。スロベニアの首都「リュブリャナ」出身の大将が腕を振るっている、とHPに説明があった。家庭的な空間で郷土料理が味わえるお店とある。
ピカポロンツァの雰囲気
ピカポロンツァの外観。
目立っているのに、おさまりが良い。という奇跡的なプレゼンスを感じた。「ピカポロンツァ」がすっと入ってくる。外観から醸し出されるオーラは、左京区のイスラエル料理店「ファラフェル・ガーデン」に通づるものがある。
ピカポロンツァは3階建てで、2階がキッチンとダイニングルームとなっている。入店して靴を脱いで2Fに上がるという行為が、完全に家だ。プレシャスな体験で、お邪魔しますと言いそうになる。
2Fのダイニングルーム。
ダイニングルームには魔法がかかっていて、「人ん家」の緊張感が異国感に変換されていた。定食屋さんのような匂いと、地中海のバイブスの音楽(スロベニアの音楽だそう)。店内には謙虚にスロベニアのアイデンティティがディスプレイされている。
首都「リュブリャナ」やスロベニアを表現した工芸品。
スロベニアの名所「聖マリア教会」の写真や、現地のサイクリングチーム「Ljubljana Gusto Santic」のグッズなど。
スロベニアのご当地料理の地図(売り物なら買いたかった)。スロベニアには、食で分類する24の地域が存在すると聞く。
ピカポロンツァのメニュー
1/6。
2/6。
3/6。
4/6。
5/6。
6/6。
お昼時だったので、ランチメニューとドリンクメニューが展開していた。「外国の謎料理」という感じが一切無く、日本人なら誰しも理解できる優しい説明。こんなにも安心感を感じる日本語って、なかなか出会えない。
メインディッシュが2つ食べられる「あいもりランチ/1800円」を注文した。内容は次の通り:パン&スープ、地中海リゾット、そば粉のズリヴァンカ、サラダ。
ハーブティーもついている。とても美味。
パン&スープ
スープがお茶碗に入っていてかわいい。
「全粒粉のパンと、サワークリームが入っているスープです」と説明があった。パンは茶色がかっていて、味が濃いめで好みだ。スープは「オバラ/Obara」というそうで、スロベニアで有名なシチューだそう。
表面を薄く覆っているのが、サワークリーム。
オバラは齧歯類のヤマネを含むと聞いたことがあるが、ピカポロンツァのものはベーコンの味がした。タマネギ、ニンジン、セロリなど入っており、ニンニク風味と酸味が印象的で美味しい。ウクライナ料理のボルシチと似ていると感じた。
パンのカケラをスープに沈めて一緒に食べると、サワークリームの乳製品特有のUmami(旨味のこと)に誘発されて、ハンパじゃない美味しさになった。日本料理にはなかなか無いケミストリーだった。誰も傷つけない、夢のような味。
地中海リゾット
エビ、貝、魚など含まれる。
シーフードのトマトソースが白ごはんにかかっている。スロベニアは地中海(のアドリア海)に面しているので、「地中海料理」も食されるらしい。隣にイタリアもあるので、地中海リゾットがスロベニアの定番料理でも、驚かない。
白身魚がたいへん美味しい。
白身魚を白ごはんで食べる格好となる。この時点でお魚定食がキマり、尊い美味しさ。トマトソースはややスパイシーだけども、同じ地中海といえど北アフリカ(の料理)には寄ってない様子。日本とスロベニアのセンスを感じた。
そば粉のズリヴァンカ
ソバはスロベニア料理でもよく使われる食材だそう。
ソバのタルトのような生地。チーズ、豚肉、タマネギ、など乗っている。「ハム&チーズのピザ」に近い、圧倒的なコンフォードフードの気配を感じた。でも、粘度を感じる独特の食感とわずかな苦味を感じ、アメリカ料理とは別物とわかる。
ザワークラウトとソーセージが添えられている。
「ザワークラウト/Sauerkraut」は「ドイツのキャベツの漬物」と言われているが、ドイツ周辺の国でもポピュラーだ。ピカポロンツァのものは酸味が強く、底知れぬ本気度を感じた。ドイツのスーパーに売っているやつとは全然違う。
ちなみに「ザワークラウトにソーセージを添える」は、スロベニア料理ではよくあるフォーマットだそう。脇役に徹したかに見えたソーセージが、実は伝統へのオマージュだと知り、グッとくるものがあった。これぞ太秦スタイル。
サラダ
ブロッコリー、カボチャ、芽キャベツ、などなど。素材によって味付けが異なる。
「あいもりランチ」の大トリが、サラダだった。「創作ピクルスの盛り合わせ」と呼んでいいかもしれない。それぞれが一品で登場しそうな手の込みようで、贅沢な一杯だった。「漬物傑作集」と命名したい。
ピカポロンツァの意味
ピカポロンツァの看板。
「ピカポロンツァ/PIKAPOLONCA」は、スロベニア語で「テントウムシ」という意味だそう。お店の外観からして、すでに察してはいたけれど、意味を知ると安心感が補強された。つよい。
店内にも何匹かいた。(テーブルの照明にて)
ピカポロンツァは1Fも/が面白い。スロベニア雑貨&食品店のようになっていて、カフェとしても使えそうな雰囲気。本のキュレーションがおおきにで、スロベニアについて学べる。図書館とも呼べそう。ハーブティーをしばきながら学びたい。
1Fのスロベニア本コーナー。
パンやソーセージやお茶など購入できる。
キュートな空間だった。
御ま品と書め
ピカポロンツァ/PIKAPOLONCA
あいもりランチ/1800円
ピカポロンツァのHP
ピカポロンツァの住所:京都市右京区太秦森ケ東町29-7
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