「世界ごはんたべ記」のせつめい
「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんによる外食の記録です。どんなお店で何を食べたか、どんなことを感じたか……などなど、じゆうに書いています。
海外ぐらしが長いので、異国のお店はひんぱんに登場します。とはいえ「世界」と名乗っている手前、母国のお店も発表していかねばなぁと思っています(……か?)。
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前回の記事「#16イスラエルのファラフェル専門店/ ファラフェル・ラツォン」はこちら。「世界ごはんたべ記」の記事一覧はこちら。
ヒロ・ラーメンバーとは
お店の雰囲気。
「ヒロ・ラーメンバー」はイスラエルにあるラーメン屋のチェーンだ。チェーンといっても日本の天下一品みたいに全国展開しているわけではない。イスラエルの東京「テルアビブ」に店舗が2軒ある。うん、ぜんぜんチェーンじゃない。2016年に、サロナマーケットという有名なフードモールでオープンした。
サロナマーケット。
サロナマーケットはイスラエルの食文化の発信地のようなところで、進出気鋭な現代の飲食店がたくさんある。わかりやすくはイスラエルイスラエルしていないので、観光地として「カルメル市場」のような王道スポットにはひけをとるが、現地では間違いなく最も有名なスポットのひとつだ。週末はなかなか混む。
エントランス。
中の雰囲気。
寿司屋もある。@ZE SUSHI
カルメル市場はこんなかんじ。
関連記事:定番だけ厳選!イスラエル・テルアビブのおすすめ観光地9選
ヒロ・ラーメンバーを経営するのは「イスラエル・アハロニ/Yisrael Aharoni」というセレブリティシェフで、国内ではかなり有名な人物だ。「アジア料理といえばこの人」のように認識されている。スーパーでは、彼の顔面がプリントされたホットソースや米などが売られている。
イスラエル・アハロニの顔面がプリントされた米。
イスラエル・アハロニの顔面がプリントされたホットソース。コチュジャン味。
以後、お見知りおきを。
彼を一度みかけた、ロスチャイルド通りのカフェ。
フリースタイル・ラーメン
「フリースタイル・ラーメンバー byアハロニ」と書かれてる。
「スープに浸かってる麺」であるラーメンは、イスラエルでは奇妙な食べ物に見える気がする。イスラエルは「麺料理はパスタ」というタイプの国だ。イスラエルの食のセンスをもってして日本のラーメンを視ると「スープ料理」になりえる。そのあたりが理由で、出店は挑戦的と思われてたりもしたらしい。
イスラエルのカルボナーラ。(詳細記事)
イスラエルにおいて、ラーメンは「日本の料理のラーメンを知ってる人しか食べない料理」と言える。これは日本における「ファラフェル」とか「フムス」とかと同じことだ(ファラフェルとフムスはイスラエル料理ではないが現地の超定番料理だ)。まあでも麺料理はどの国にもあるから理解のハードルは低そうではある。
イスラエルのファラフェル。@アブゴッシュ/エルサレム地区
イスラエルのフムス。@イケア・ネタニア店
イスラエル・アハロニは「日本の麺料理であるスープラーメンは、麺料理として洗練されてる」と考えているらしい。イギリスのフードライターのジェイ・レイナーもそのようなことを書いていた。「具、麺、汁に集約されてて、作品として良質なエンジニアリングが施されてる」と(かなりうろおぼえだけど)。
「ラーメンがミニマルで洗練された麺料理」というイメージは世界の飲食のプロたちの間で共有されてそうではある。イスラエル・アハロニは「ファストフードとしてカジュアルにラーメンをすすれるパブ」としてヒロ・ラーメンバーをやっているそうだ。そしてこのお店は「FREE STYLE RAMEN BAR」を謳っている。
イスラエルの「スシ・サンドイッチ」。
イスラエルは自国料理がない珍しい国なので、新しいものを受け入れる速度が早い。スシ・サンドイッチがイスラエル料理とささやかれるほどなので、ラーメンもわりとすぐ人気になりそうな気はする。テルアビブにある、日本人が運営する「めんてんてん」は、すでに結構人気店だし。
(ほぼ)とんこつラーメン@MEN TENTEN/テルアビブ。(詳細記事)
ヒロ・ラーメンバーの雰囲気
お店の雰囲気。
サロナマーケットの飲食店は、オープンスペースに店舗が展開している。ヒロ・ラーメンバーはいけてるバーのようなたたずまいで、レインボーフラッグとかも掲揚されてて、イスラエルの都会全開な感じだ。日本では古き良きなラーメンは、それ故に、海を超えて最先端に変換される。海外のラーメン屋として申し分ない雰囲気。
厨房の雰囲気。
テーブルに設置された、おぼんセット。
ヒロ・ラーメンバーのメニュー
英語表記。
「ラーメン」「一品」「おつまみ」といった構成。ドリンクには「日本酒」もある。「餃子」とか「昆布サラダ」とか「バオ・バーガー」などある。日本寄りのパンアジアな布陣。イスラエルの人たちが安心して「クール」と解釈できるアジアンレストランという感じがある。
牛肉バーガー
720円。
いわゆる「バオ・バーガー/bao burger」。アメリカとかの欧米先進国では多分もう珍しくもない、アジア系ウェスタン・フュージョンフード。パンアジアの最たるものだと思う。バオは中国の蒸しパン「饅頭/まんとう」。これに具を入れたものを日本では「中華まん」と読ぶ。バオ・バーガーは「アメリカン中華まん」といったところか。
煮込んだ牛肉、キムチ、マヨネーズなど入っていて、日本だったら「牛のしぐれ煮まん」とか呼べそうだ。素材ひとつひとつに特別な感動はないものの、一品としてすごくおいしい。欧米先進国のアジア料理の定番「バオ・バーガー」。ちなみにイスラエルの食のセンスは「中東料理と地中海料理に造詣が深いアメリカ人やドイツ人」といった感じだ。
コチュジャン・ラーメン
1620円。
醤油味のコチュジャンラーメンだ。おいしい。チンゲン菜、しいたけ、たくあん、のりなどが含まれる。唐辛子がふりかかってて、辛旨い。カップラーメンの「辛ラーメン」を、めちゃめちゃ料理が得意なツレが再現したような味だ。ヒロくんは料理がうまい。センスがある。リピート確定の味だ。500円ならば。
麺もおいしい。
チンゲン菜は「野菜でアジアを表現するときの最有力候補」みたいな印象がある。アジア感をだすならチンゲン菜(Bok choy)を忍ばせる、という感じ。同じような意味で、たくあんが採用されてる。たくあんは現地のスーパーにも売っていて、「日本の食材」としてのプレゼンスが高い。でも現地のたくわんに情緒はない。
たくあん。
スーパーに売られてる、たくあん。
P.S.
2021年3月時点では、ヒロ・ラーメンバーのサロナマーケット店は閉店している。スペシャルカクテルの「O-Saki Ni Doozo/お先にどうぞ」と「Me Wo Samasu/目を覚ます」を注文しなかったことが今となっては悔やまれる。(「目を覚ます」にはみりんとわさびが含まれる)
ブランディングに、お金がかかってそうだ。
ヒロ・ラーメンバー(サロナマーケット)の住所:Aluf Kalman Magen St 3, Tel Aviv-Yafo, Israel
出演-おしながき-
ヒロ・ラーメンバー/Hiro Ramen Bar
牛肉バーガー/BEEF BUN/24 ILS(720円)
コチュジャン・ラーメン/GOCHU RAMEN/54 ILS〜(1620円〜)