ピザはイタリア料理だ。でもほんとうにそうか? など言うと食に関するアメリカのTV番組「アグリー・デリシャス」みたいだが、そう哲学してもいいくらいピザは普遍的な食べ物だと思うし、あともちろんイタリア料理だとも思う。
イタリアの「ポンペイ」にて。
がぅちゃんはイタリアには行ったことがあるらしい。火山で滅びた古代都市「ポンペイ」にゲイの団体ツアーにまぎれて訪れ、石畳の地面にデザインされたおちんちんのマークを見たそうだ。ピザは食べていない。がぅちゃんはドミノピザくらいポピュラーなアメリカのピザチェーン「パパ・ジョンズ・ピザ」のピザについてくるガーリックソースが好きらしい。「食パンをつけても美味い」と言っていた。おぜんざいが美味いと言っていたおばあちゃんと同じ態度だ。食パンが喉につまらないことを祈りたい。
…など念じていると思われてもよさそうな格好でがぅちゃんは合掌していた。正月あけの「京都ゑびす神社」でのことだ。友達に連れられてやってきたと主張する友達に連れられてやってきた。CIAみたいなやり口。アメリカ、イギリス、アイルランド、日本、と国籍もさまざまな大人が6人もいたが、誰もチームとしてのミッションを把握していない。とりあえず3500円を払うと舞台にいる巫女さんが笹を握ってダンスをしてくれるということだったので、誰もが誰かがお金を払うのを待った。そして我々ではない中国かどこかの誰かがお金を払い、巫女さんのダンスが始まる。これこれ、とみんなこぞってスマホで記録した。
巫女さんのダンス。
お腹が減ったのでピザを食べることになった。屋台の佐世保バーガーが閉まっていたからだ。アメリカ人に連れられてたどり着いたのが、立ち飲みピザ屋の「kitchen Bisshon」というお店だった。こじんまりした店内は6人が入ると一瞬で満席になった。店内の壁には、舞妓さんや芸妓さんが名刺みたいにして配るとされる「京丸うちわ」が3枚もある。彼女たちをオーダーするためにはピザ何枚ぶんになるのだろう、などと考えていたら、「なに飲む?」という話になった。ビールでいいかな? ワインにする? メニューには「モレッティ 700」とある。イタリアのビールのことらしい。ということで、がぅちゃんはコーラを注文した。
kitchen Bisshonの店内。
kitchen Bisshonのメニュー。
ピザも注文したい。これは余談だけど、じつはイギリス人の友達とがぅちゃんは、過去に一緒にピザを食べたことがある。その時はシーフードピザだった。シーフードピザといえば、アメリカのTV番組「アグリー・デリシャス」で一部のアメリカ人が「許されないトッピング」として難色を示したものだった(番組内ではいちおうマルゲリータがスタンダードという様子だった)。がぅちゃんのアメリカ人の友達の中には、シーフードピザをお子様ピザと呼び捨てた人もいる。でもそんなことはお構いなしで「マルゲリータはガキのトッピング」「シーフードは大人」と持論を展開するのがイギリス人の友達だった。ピザにも色々あるみたいで疲れそうになるけれど、ハッピーニューイヤーということで、がぅちゃんは今日もすべて無視してマルゲリータを注文していた。現場にいたアメリカ人はというと、肉が食いたいという理由でミックスピザを注文していた。なんだかんだ4種類もピザが届く。イギリス人の友達はというと、カルボナーラピザの真ん中のおんたまを大喜びでかき混ぜていた。ひとまずみんな幸せそうだった。
マルゲリータ(1100円)。
ミックスピザ(1300円)。
クアトロフォルマッジ(1300円)。
カルボナーラピザ(1300円)。とても美味しかった。
kitchen Bisshon | 京都府京都市東山区弓矢町13 白扇マンション 103