世界ごはんたべ記#85 東京のイスラエル料理屋「デビッド・デリ」

「世界ごはんたべ記」の講釈

「世界ごはんたべ記」は、ライターのがぅちゃんの外食の記録です。どこのお店でなにを食べたかを報告しています。「世界」と名乗っている手前、異国のお店も母国のお店も登場します。



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デビッド・デリとは

デビッド・デリの外観。(DAVID’S DELI=デビッドのデリ)

デビッド・デリは、イスラエル料理屋と言っていいと思う。というか(たぶん)間違いなく、イスラエル料理屋ではある。「イスラエル料理!」とは、いちいち大々的には発表してない。でもそのビジュアルには、イスラエルが前面に出ている。看板には「本場イスラエルクィジーン料理」と説明があったので、料理はイスラエルをレペゼンしていることが伺える。

デビッド・デリの看板。(表)

デビッド・デリの看板。(裏)

デビッド・デリの雰囲気

デビッド・デリの店内。

日本の上品な喫茶店、といった雰囲気だ。お店の看板にあった、「健康」「NY」「地中海」といった日本語は、(日本語として)的を外してはいない。「カフェ」「デリ」「ベーカリー」とか言うと、「たしかに」となりそうな雰囲気だ(というかデリとは言っている)。

店内は静かで、テレビの音声だけが響いていた。どっかのサウナの飲食スペースのようでもあるが、壁にディスプレイされた「ハムサ*」や、カウンターに置かれた「メノーラー*」が、確実にイスラエルのバイブスを放つ。イスラエルによくあるベーカリーのようでもある。

*「ハムサ」はお守りのようなもので、イスラエルの家や車の中にによくぶらさがっている。「メノーラー」は燭台(ろうそく立て)で、イスラエルの国章のデザインにも採用されている。

ハムサ。

メノーラー。(写真の中央右)

うってかわって、イスラエルのパン屋のメノーラー(また違う種類だが)。

店内にシャガールの「エルサレム・ウィンドウ」

デビッド・デリにある、シャガールのエルサレム・ウィンドウの一部。

デビッド・デリにある、シャガールのエルサレム・ウィンドウの一覧。

デビッド・デリの2Fへとつづく階段部分には、ユダヤ教に関する有名な美術作品がある。ロシア帝国出身の画家「シャガール」が制作したステンドグラス「エルサレム・ウィンドウ/The Jerusalem Windows」だ(※本物ではない)。エルサレム・ウィンドウは、ユダヤ教の旧約聖書に登場するイスラエル12部族をモチーフにした作品である。

シャガールはユダヤ人*なので、ユダヤ教に関する名作も遺した。シャガールはユダヤ関連の芸術家として一番有名な人物かもしれない。(*親とかがユダヤ教徒の人、自分がユダヤ教徒の人etc。)

ちなみにユダヤ教は、イスラエルで最も信者が多い宗教だ。イスラエルの国家行事はユダヤ暦で開催される。だからイスラエルでの生活は、信仰の有無にかかわらず自動的にユダヤ教を実践していると錯覚しそうな状態になる(私は住んでてそう感じた)。その状態に関しては、神社や寺で習慣で合掌できたりする日本に似ている気もする。

デビッド・デリのメニュー

一品。(1/3)

メイン。(2/3)

デザート。(3/3)

メニューは完全にイスラエル料理屋だ。イスラエルの定番料理が揃っている。ひよこ豆のディップの「フムス」、ひよこ豆のコロッケの「ファラフェル」、肉料理の「ケバブ」などある。(これらは「白ごはん」「味噌汁」「焼鳥」みたいなことだ。)

デビッド・デリはベーカリーとしての性質が強いらしく、パン類やケーキ類も充実していた。「イスラエルのベーカリー」としては唯一無二のお店かもしれない。

イスラエルに本当にありそうな、デビッド・デリのベーカリー。

ランチタイムメニューのBランチ

ランチタイムメニュー。(右上がB)

私が訪れたのはお昼時だったので、「ランチタイムメニュー」が充実していた。サイゼリヤとかデニーズとか、日本のファミレスのメニューを彷彿とさせる見やすさだ。

Bランチには、ファラフェル、フムス、イスラエリ・サラダ、ピタパン、コーヒーが含まれる。イスラエルの定番食を最も効率よく食べられるアイテムだった。「白ごはんと味噌汁と漬物と…」みたいなことになっている。

Bランチ。1500円。手前がファラフェル、その左上がフムス。

中は黄緑色。コリアンダーの風味がおいしい。

ファラフェルとフムス

「イスラエル料理*って何ですか?」とイスラエル人に聞いた場合、おそらくまず名前が挙がる2つが、ひよこ豆のコロッケの「ファラフェル」と、ひよこ豆のディップの「フムス」だ。(イスラエルなら、どっちもイケアでも食べられる。)

*イスラエル料理はまだ無いという一般論がある。でも定番料理はある。この記事では、イスラエルの定番料理=イスラエル料理としている。

デビッドデリのファラフェル。グレイビーボート(右上)が、日本ならでは。

デビッドデリのファラフェルは「ボール型」だった。デビッドデリはファラフェルのことを「ひよこ豆ペーストのカリカリ揚げボール」と言っていた。わかりやすい説明だ。

ファラフェルの形は調理器具(アイスクリームスクープのようなやつ)に影響されるので、お店によって形が変わる。ファラフェルを美しい球体にするところに、イスラエルの感じがにじんでる気がする。

グレイビーボートには「タヒーニ」をベースにしたソースが潜んでいた。タヒーニは中東のゴマペーストで、イスラエルのレストランにはよく現れる。そんなタヒーニが、日本の洋食屋とかでしかお目にかかれなさそうなグレイビーボートでやってきたのが可愛いかった。

これはフムス。ひよこ豆のペーストで、イスラエルの国民食だ。

フムスは一般的に、ひよこ豆、ニンニク、レモン汁、タヒーニ、オリーブオイル、水などが含まれる。味は店の数だけある(と言っていいと思う)。イスラエルでは、水分多めでクリーミーなテクスチャなものが多いと思う。

デビッド・デリのフムスは、豆の食感が強めに残っているものだった。レモンよりはニンニクの風味がした。とてもおいしい。ポテサラのような感じで食べ応えがある。

イスラエリ・サラダ

「イスラエル料理」として注目されづらいが、何気にイスラエル丸出しな料理が「イスラエリ・サラダ」だと思う。トマト、キュウリ、紫タマネギを小さなダイス状にカットして、オリーブオイルやレモンなどで合える(オリーブオイルとレモンは絶対という感じ)。

イスラエリ・サラダは、イスラエルでは定番のサラダだ。サラダ=イスラエリサラダ、と言ってもいいかもしれない。ギリシャサラダに似ているけれど、フェタチーズやケイパーやオレガノは入っていないので、違う。もっとテキトーでいい。でも入っていてもおかしくはない。

デビッド・デリのイスラエリサラダの見た目は、日本で食べたイスラエル料理のなかで、最もイスラエル料理だったかもしれない。日本の家庭のオリーブオイルのサラダのような味わいだったのが尊い。

Bランチをピタパンで挟むとファラフェルサンドになる。ピタパンがおいしい。

大砂嵐

ハムサやメノーラーが並ぶ店内に、漢字の色紙がひとつあった。「大砂嵐」と書かれている。大砂嵐はエジプト出身の力士だ。エジプトはイスラエルの隣にあって、昔は戦争したが、今は敵国ではない。

イスラエルの近所の国でも、ファラフェルやフムスはソウルフードとされていたりする。敵同士で殺し合っても、同じ料理で育ってる。ファラフェルやフムスを食べて母国を思い出すのはイスラエル人だけではない。

デビッド・デリでの大砂嵐のサインの様子を見る限りでは、たんたんとよろしくやってる感じで良かった。怪しいオーラもとくに出てなかった。日本のちょうど良い具合のとこだけ出てたように思う。

今回のおしながき

デビッド・デリ/DAVID’S DELI
Bランチ/1500円

デビッド・デリのHP

デビッド・デリの住所:東京都港区三田5丁目13−13 エルベックスハウスミタ

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